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若い才能の芽(8月29日)

 今夏の甲子園決勝で秋田・金足農の吉田輝星投手は途中降板する際、代わった投手に声を掛けた。その言葉から取った本紙の見出し「吉田『俺はもう無理』」に、読者から指摘を受けた。
 「秋田県民が見たら、どう思うか」「同じ東北の地方紙として、もっと愛情をもって報道してほしい」。懸命にプレーする球児に寄り添うべきとの趣旨と受け止めた。一方で、この見出しは一つの示唆を与えてくれる気がする。猛暑の中、吉田投手は六試合で計八百八十一球を投げた。剛腕と言えど、とうに限界を超えていた。気力だけが支えだったに違いない。
 NHKは昨春から高校野球のテレビ中継で投球数を表示している。米国では「肩は消耗品」と考える人が多く、百球が交代の目安とされる。投手生命を絶たれた高校野球の選手が日本には何人もいる。過酷な連投が原因だった。大会日程の緩和や球数制限を求める声はかなり前からある。
 十八歳以下のアジア野球選手権が九月三日、宮崎で開幕する。疲れを癒やした吉田投手の速球がまた見たい。県内では秋季県大会を目指す支部大会が佳境を迎えている。若き才能の芽を守り育てるのは、大人の役目だろう。

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