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【共に暮らしやすく】条例を幅広く生かす(8月30日)

 県は障害を理由とする差別の解消などを掲げる条例づくりに取り掛かっている。県民の意見を聞くパブリックコメントを九月中旬に始め、年内に県議会への提案を見込む。
 条例の効果を高めるには福祉や教育とともに、働き方、まちづくり、消費生活、防災、防犯、司法、選挙などの幅広い分野にわたって、行政も民間も制度や慣行を総点検する必要がある。
 県は障害を漢字で表す際に、法令でやむを得ない場合を除いて、できる限り「障がい」を用いる。条例の仮称には「障がいのある人もない人も共に暮らしやすい福島県づくり条例」を挙げた。同時に、手話の普及を目的とした県手話言語条例も定める。
 県によると、二〇一七(平成二十九)年度に県内で身体、知的、精神の各障害に関する手帳を持つ人は合わせて約十一万三千人だった。障害のある人の範囲は国の制度改正や医学研究によって、今後も見直されるとみられる。障害の特性や年齢、暮らしの様子、地域の実情を踏まえながら、分け隔てのない支援の在り方を探ってほしい。
 障害者差別解消法は二〇一六年四月に本格施行された。県は法律よりも踏み込んだ施策を進めるために、条例に「横出し」や「上乗せ」と呼ばれる手法を用いる。具体的には(1)法律は不当な差別的取り扱いを禁止する対象として、行政機関と事業者を挙げるが、条例は「何人も」に広げる(2)法律は事業者に指導や勧告をできるが、条例は勧告に従わない場合に公表も可能とする-を盛り込む予定だ。
 障害者雇用の水増しが国の機関で発覚し、その後に本県を含む地方でも明るみに出た。県は条例の中で、障害のある人が能力に合った職業に就けるように、多様な就労の機会を確保する考え方の条文を検討している。行政は住民や企業の模範となる立場であり、雇い方や働き方の早急な改善が欠かせない。同時に、国、県、市町村の施策や制度を見渡し、障害者にとっての障壁がないかを普段から確かめなければならない。
 二年後の八月から九月にかけて東京パラリンピックが開かれる。本宮市と飯舘村は参加国の選手らと交流するホストタウン事業を計画する。また、県障がい者スポーツ協会は、活躍が期待される選手を「ふくしまパラアスリート」に指定している。車いすラグビー日本代表の合宿が県内で行われ、他の競技の合宿も今後、予定されている。条例を広め、生かす機会の一つにパラリンピックと五輪を位置付けるべきだ。(安田信二)

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