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【災害列島】毎日を「防災の日」に(9月1日)

 きょうは関東大震災から九十五年の防災の日。行政も一般市民も災害への認識を深め、対処への心構えを準備する日だ。しかし、毎年のように災害が多発し、今後も巨大災害が想定される日本列島に住む身としては毎日、防災への意識を心のどこかに置いて生活する必要がある。
 二万二千人を超す死者・行方不明者となった二〇一一(平成二十三)年の東日本大震災の後も、多くの災害が発生している。二〇一四年の広島市の土砂災害では七十七人が犠牲になった。同じ年の御嶽山[おんたけさん]噴火は噴火災害では戦後最悪の犠牲者数となった。二〇一六年には最大震度7という熊本地震が起き、多くの人的被害をもたらした。今年の西日本豪雨では豪雨災害としては平成に入って初めて死者・行方不明者が二百人を超え、「平成最悪の水害」と言われた。国民の暮らしや命を脅かす豪雨や猛暑は特異な事象ではなくなりつつある。
 一方で公的な防災対策は以前より格段に向上しているはずだ。気象の観測・予測技術はスーパーコンピューターなどによって精度を増した。治山、治水のハード面の整備は計画的に進み、水害や火山災害のハザードマップもきめ細かくなった。
 しかし西日本豪雨ではダム放流や水門閉鎖の情報が住民に十分伝わらず、逃げ遅れを招いたという指摘があった。伝わらない情報は無価値だ。時代とともに行政に求められる防災のレベルは変わる。社会一般が可能と考える対策を施していなかったら怠慢に見えてしまう。きめ細やかな社会システムの整備、教育や訓練によって、高齢化や過疎化が進む社会でも確実に命が守られるようにしたい。
 行政に細やかな対応を求めるなら、個々の市民も防災に無頓着であってはならない。
 増水や土砂災害など、自宅にどんな危険が及ぶ可能性があるかをハザードマップで知っておくのは最低限の心構えだ。避難場所や災害用連絡ダイヤルについては、家族で約束しておこう。危険が予想される事態では近所に声を掛けて一緒に避難するような関係づくりが望ましい。
 東日本大震災では多くの県民が水、食料、燃料の不足に悩んだ。記憶を新たにし、日頃から備蓄を心掛けたい。
 地球温暖化は、風速七〇メートルのスーパー台風などこれまでの想像を超える災害を日本列島にもたらすことも予想されている。
 できるのにしないのは命の怠慢だ。毎日一つでも防災の努力を重ね、自分や家族の命を守ろう。(佐久間順)

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