あぶくま抄・論説

論説

  • Check

【放射線教育】全国に広げよう(9月5日)

 学校の夏休み期間中の八月に開催された二つの全国規模のPTA集会で、復興庁は放射線教育の重要性を訴えた。併せて、本県への教育旅行を呼び掛けた。
 全国の保護者らが放射線への知識を深め、さらに本県の現状を理解するのが狙いだ。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の風評は、容易に消えない。県外の父母や教師を対象とした新たな試みは、風評払拭[ふっしょく]と震災を風化させない手法として注目される。
 集会は佐賀市を中心に開かれた第六十八回全国高校PTA連合会大会佐賀大会と、長岡市などが中心会場となった第六十六回日本PTA全国研究大会新潟大会。佐賀県に約九千六百人、新潟県に約七千五百人が集った。両大会は文部科学省などが後援している。昨年、仙台市で開かれた日本PTAの大会で復興庁が初めて後援に加わった。
 両大会の開会式で吉野正芳復興相(衆院本県5区)があいさつに立った。「放射線と福島を知ってもらうことが重要。福島にも他と変わらない日常がある」と呼び掛けた。会場には、福島県も協力して放射線を学ぶための区画を設けた。教育旅行や本県観光に関するガイドブックが配られた。放射線を可視化できる霧箱が多くの参加者の関心を集めた。
 県内の子どもや保護者は震災後、さまざまな形で放射線教育を受ける機会がある。しかし、県外では、学校での積極的な放射線教育の取り組みは少なく、まして保護者が放射線を学ぶ機会はほとんどないといわれる。
 国は昨年十二月に「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」をまとめた。復興相の下で、関係省庁が正確で分かりやすい情報発信や被災地産品の販路拡大に取り組む。四月の教育関係団体会議(全国都市教育長協議会、全国市町村教育委員会連合会、全国町村教育長会)で、全国の教育長らに本県の教育旅行回復への協力と放射線知識への理解促進を依頼した。放射線に対する正しい知識をまとめた冊子「放射線のホント」をつくり、六月には電子書籍化した。無料ダウンロードして見ることができる。
 震災後、放射線教育に関しては、県内と県外で取り組む姿勢に大きな違いがある。未来を担うのは子どもたちだ。風評を払拭するためにも教育分野における情報発信は何より大切だ。「放射線のホント」は「知るという復興支援があります」と呼び掛ける。国や県に一層の県外対策を期待したい。(関根英樹)

カテゴリー:論説

論説

>>一覧