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井戸沢断層(9月6日)

 いわき市田人町の山間部にある井戸沢(塩ノ平)断層は、震災の一カ月後に起きた巨大余震で地表に現れた。約十四キロにわたり、大地のずれが一直線に貫く。最大で二メートルほどの段差ができた。
 地元は後世に伝える試みを続ける。毎年、イチョウの苗を植える。発生した日や震度を案内板に記す。周辺の森には遊歩道もある。田人中の生徒らは地層の表面の土を剥[は]ぎ取り、標本を作った。市は塩ノ平地区の約二百メートル部分を天然記念物に指定した。国は双葉、浪江両町にできる復興祈念公園と結ぶ震災伝承の道を設ける。
 屋外展覧会「田人の森に遊ぶ」が二十三日まで開かれている。黒田不動堂や旧貝泊小中など十五カ所を美術館に見立てた。国内外の四十人ほどの作家が五十点余りを寄せた。田人地域振興協議会が依頼した。大地から芽生える植物、天を仰ぐ像…。断層をテーマに「再生」などを表現した作品が並ぶ。多くの人を呼び込み、活気を生み出す。
 週末は作品がある場所を記した地図を手に地域を巡ってみよう。八日と十五日には協議会が断層の見学会を催す。地学教材との出合いは、地球の大きな力に気づかせてくれる。そして七年前の記憶を心に刻む。

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