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【北海道で震度7】手厚い支援で恩返し(9月7日)

 北海道で起きた震度7の地震は広い範囲に深刻な被害をもたらした。
 全容はまだ分からない。二次災害も心配される。全国各地との交通手段は限られるが、国を挙げて救助や支援を急がなければならない。
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で、本県には多くの救いの手が差し伸べられた。その恩に報いるには、震災で得た教訓と知恵を北海道に伝え、人命救助や被害の拡大防止、復旧や復興に役立てる必要がある。
 県と道との行政同士のやりとりに加えて、市町村、業界、企業、各種団体、個人のボランティアといった、さまざまなつながりを最大限に生かす工夫が求められよう。
 道内全ての約二百九十五万戸が停電した。一九九五(平成七)年の阪神大震災を超える規模とされる。全域の復旧には少なくとも一週間以上かかるとみられる。長期の停電は道民の命に関わる。全国の電力会社をはじめとする電気関係の企業には総力の結集をお願いしたい。
 本州と北海道を結ぶ送電設備や、融通できる電力量には限りがある。電気に代わる燃料の速やかな調達が欠かせない。灯油やガソリン、軽油、重油などの石油類は運びやすさなどの面で災害への対応力が期待できる。復旧工事を担う車両や重機にも使われる。ガスや電池を含めて多様なエネルギーの確保と安定的な供給に努めてほしい。
 北海道電力の泊原発は運転停止中で、原子炉に核燃料は入っていなかった。停電の影響で一時、外部から電気を送ることができなくなり、非常用発電機を使って、使用済み核燃料が入ったプールを冷却した。その後、外部電源が戻り、復旧した。定められた手順だったが、電源喪失への対応の再確認が大切だ。
 県内の原発も電源喪失などの緊急時への備えを用意している。発電所内にとどまらず、周辺地域も視野に入れて、安全対策が十分に機能するかを普段から確かめる努力が重要となる。
 北海道は今年、命名から百五十年の節目に当たる。本県との交流は約二百年前の江戸時代の会津藩による北方警備などにさかのぼることができよう。明治時代以降の県民の移住、県産農産物の流通、震災と原発事故に伴って避難した県民の受け入れと、つながりは長く、深い。福島空港が開港した当初からの就航先の一つでもある。道内各地で県人会が活動し、その連合会も組織されている。歴史を振り返り、幅広い恩返しを探るべきだ。(安田信二)

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