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歌姫の福島への思い(9月13日)

 開演時間になっても幕が開かない。五分遅れで前奏が流れ、力強い歌声が会場を包む。二曲歌い終えて、突然、声を詰まらせ涙を浮かべた。前日の公演で喉を痛め、開演するかを直前までスタッフと相談したことを打ち明けた。
 福島市で八月下旬に開いたコンサートで、MayJ.(メイ・ジェイ)さんを思わぬ事態が襲った。歌えない恐れが出るほどだった。しかし、福島のために歌いたいと願う。かすれた声でも全力で歌い続けた。会場を埋めたファンは一緒に歌い、彼女を支えた。最後に来場者全員とハイタッチし、感謝の気持ちを伝えた。
 震災後、福島に寄り添い続けた。きっかけは二〇一四(平成二十六)年に、福島市で開かれた復興支援ライブへの出演だった。ボランティア活動にも参加した。震災から五年を迎えた三月十一日のイベントでは歌声で県民を励ました。
 デビュー十二年を迎える。歌唱力は群を抜きながらも、人気が出るまでに長い時間を費やした。つらい時期も自分の歌を待ってくれる人がいると前向きに、歌とファンに接した。明日へ向かうパワーを届けたい-。その姿に、勇気をもらった人は多い。福島との絆はまた強くなった。

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