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【戊辰150年】会津は見どころ満載(9月15日)

 会津若松市の戊辰百五十年関連の企画や行事が最盛期を迎えている。旧暦の九月は、会津で激しい戦いが繰り広げられ、鶴ケ城は開城された。新暦となっても初秋の九月は観光シーズンと重なり、県内外から多くの人が訪れている。戊辰戦争を新たな視点から捉え直す機会とするとともに、関係する地域が理解を深め合うきっかけをつくっていきたい。
 県立博物館は、福島、新潟、宮城三県の博物館共同企画展覧会「戊辰戦争一五〇年」を開催している。約二百点の展示品のうち、半数の約百点は福島独自の展示品だ。初公開の資料も数多く、興味深い展示となっている。
 必見の一つは、会津藩祖保科正之が眠る猪苗代町の土津[はにつ]神社を描いた「土津神社図屏風」で、戊辰前の様子を伝えている。土津神社は、新政府軍の進攻を前に、猪苗代城代が社殿に火を放って焼失した。焼失前の神社の絵図は数少なく、豊かな自然の中のたたずまいは会津の質実剛健さを感じさせる。県立博物館は数年前に個人から寄贈を受け、展覧会に備えてきた。
 ほかにも、会津籠城戦の女性の活躍を描いた絵詞や新政府軍の「錦の御旗」なども並ぶ。十月十四日までの期間中、視点を会津や東北、越後に置いた展示を多くの人に見て、感じてもらいたい。
 戊辰戦争後の歴史にスポットを当てた企画もある。六十年を経た一九二八(昭和三)年に会津藩主松平容保の孫勢津子さまが、昭和天皇の弟秩父宮雍仁[やすひと]親王に嫁いだ。今年は勢津子さまの生誕百十周年、成婚九十周年の年にも当たり、生誕日の九日には記念式典が催された。勢津子さまや外交官として活躍した父松平恒雄氏らの特別写真展も二十六日まで会津若松市の御薬園で開かれている。二十八日には勢津子さまのインタビューなどをまとめた映像の映写会も予定されている。
 「朝敵」とされた会津藩の汚名をそそぐ出来事として会津人の心に残っている。「あの時にやっと戊辰戦争が終わった」と話す会津人もいる。戊辰戦争そのものに焦点が当てられがちだが、その後の会津に思いを寄せる機会にもなるだろう。
 月末には、最大のイベント会津まつりが展開される。二十三日の会津藩公行列には、仙台、米沢、棚倉、長岡の各藩の行列も編成される。それぞれが、会津藩の救援を目的に結成された奥羽越列藩同盟に加盟した。華やかさを楽しみながら、ゆかりの地同士の絆を一層深める一歩となるよう期待する。(安斎康史)

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