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原則と現実(9月18日)

 過熱気味の競争に国が歯止めをかける。ふるさと納税は大きな曲がり角に差し掛かった。返礼品の金額が寄付額の三割を超えたり、地場産品以外を贈ったりする市町村に寄付をしても所得税、住民税が優遇されなくなる。県内でも十二市町村に影響する。
 始まって今年で十年目に入った。特産品のある、なしで注目のされ方に偏りが出るのではないか-。心配する声は当初から上がっていた。農産物や伝統工芸品の少ない首都圏を中心に不満が高まった。
 金額に応じた品々を比べられる民間のホームページが複数ある。ネットショップと見間違いそうな内容も目にする。知恵を絞った商品が並ぶ。貴重な財源を得ようとする真剣さが伝わる。地方は人口が減り続け、都市部は過密化が止まらない。競い合いが激しさを増せば、税収の格差を埋めようという趣旨がゆがめられかねない。
 飯舘村は原発事故に伴い県外品を採用している。事故前は飯舘牛や草花など農畜産物を育んだ。独自の品を取り入れたいのはやまやまだろう。「村産品が贈れるようになるまで特例を認めてほしい」。村は切実な声を漏らす。中身に左右されない温かな気持ちが全国から届く。

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