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富岡町劇民(9月19日)

 県外から富岡町を訪れた人は街中のさら地の多さに息をのむ。かつては商店や住まいが立ち並んでいた。NPO法人3・11を語る会は震災と原発事故を伝える。会員が語り掛けた。「少しずつでも元気のある富岡に戻していきたい」。
 町には一万六千人ほどが住んでいた。帰還困難区域を除く避難指示が解け、四日現在で七百七十人が暮らす。町は、戻れない地域の町民のために災害公営住宅を建てた。複合型商業施設、診療所なども整えた。再び古里で暮らし始めた人が、便利に感じるためのまちづくりが進む。
 町民劇「ホーム(家・居場所)」は町から郡山市や県外に避難した家族を描く。語る会が来年一月の上演に向け、準備を始めた。出演者や、舞台裏を支える人を募っている。郡山市出身の演出家がおおまかな脚本を手掛けた。間もなく配役が決まる。町を離れていようとも、心のよりどころとなっている古里を考えてほしい-。そんな願いを込める。
 演じ手の生の声を酌み取り、作品を仕上げる。舞台には時間がたっても色あせない町とのつながり、住民の絆が浮かび上がる。町民の思いが詰まった物語は、古里を愛する人々の心に感動を呼び起こす。

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