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同じ釜の飯(9月23日)

 給食に特別な感慨を抱く昭和生まれは多い。クジラの竜田揚げは今も語り継がれる。多くの著名人が硬くてかみ切れなかった経験を振り返る。懐かしさとおいしさが先に立つのは、クラス全員が一緒に食べたからだろうか。
 山形市で十六日に「日本一の芋煮会フェスティバル」が開かれた。直径六・五メートルの巨大鍋で、一度に一万二千六百九十五人分を作って振る舞った。鍋に投入された食材は山形県産のサトイモ三トン、牛肉一・二トンなど。四時間をかけて煮込んだ。
 舌鼓を打った人数はギネス世界記録に認定された。その名目が「八時間で最も多く提供されたスープ」という。芋煮が国際的な規格ではスープとなるのも驚きだ。並ぶうちに品切れとなってしまい、残念に思ったファンも多かったと聞く。
 芋煮が山形県民の古里愛を集める存在なら、偶然ながら学校給食も、同じ県の鶴岡市が発祥とされる。芋煮と給食、見方を変えれば、まさに「同じ釜の飯」といえる。二十四日まで続く連休の行楽で、本県の河原や野原に出向いて鍋を囲む幸せな方々もおいでかもしれない。気の置けない仲間と格別な味を楽しむ。秋本番ならではの最上のひとときであろう。

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