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吾妻山(9月24日)

 一八九三(明治二十六)年六月七日、吾妻山が噴火した。翌日の福島民報は「黒煙空を漲[みなぎ]り、見るゝ吾妻小富士の全面を覆い一体の黒煙遠く東南にたなびく」と伝える。付近の被害状況などを調査していた技師ら二人が犠牲になった。
 十五日、吾妻山の警戒レベルが1から2に引き上げられた。五十八人の死者を出した御嶽山[おんたけさん](長野・岐阜県)の教訓を踏まえ、国は三年前に1の説明を「活火山であることに留意」にした。変更前の「平常」では、危険がないという印象を与えかねないためだった。2は「火口周辺規制」で、火口付近での噴石に警戒を呼び掛ける。市民も被害予想地図の確認など万が一に備えるべきだろう。
 火山活動は荒涼とした浄土平の景観を生み出した。むき出しの山肌、緑豊かな森を縫うように磐梯吾妻スカイラインが走る。高湯や土湯の豊かな温泉も福島の観光に大きな役割を果たす。恩恵が身近にあり、気を付けなければならない一面を忘れがちになる。
 県内には他に磐梯山、安達太良山、燧ケ岳、沼沢湖を含む沼沢の活火山がある。火山噴火予知連絡会が監視を続ける。慣れ親しんだ山の様子を確かめながら恵みに接しよう。

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