あぶくま抄・論説

論説

  • Check

【家読】丁寧な時間をつくる(9月24日)

 「家読(うちどく)」の取り組みが全国で進んでいる。家読とは「家庭読書」のことで、子どもを中心に家族で同じ本を読み、コミュニケーションを深める。親子や家族の時間を丁寧に過ごすために、絵本や本を一緒に読むのは最もいい手段の一つになる。活動の広がりを期待する。
 全国学校図書館協議会などの二〇一七年度学校読書調査によると、一カ月の一人当たりの読書冊数は小学生一一・一冊、中学生四・五冊、高校生一・五冊で、一カ月に一冊も読まない割合は小学生5・6%、中学生15・0%、高校生は50・4%だった。全国大学生協連の調査では、53・1%の大学生が一日の読書時間はゼロと答えた。
 現代の子どもは便利なインターネット環境に囲まれている。内閣府の調査によると、スマートフォンなどインターネットの一日の利用時間は小学生が一時間半、中学生が二時間半、高校生は三時間半に上る。文字による知人との通話や動画・音楽の視聴、ゲーム、情報検索などが中心となっている。保護者も同様の状況で、大人も子どもも次々に流れる情報を追い掛けるのに頭と時間を取られる。味わい深い本の文章と向き合い、物事をじっくり考える機会は少なくなっている。
 政府は今春、第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」を閣議決定した。中学生までの読書習慣形成の不十分さ、高校生になっての読書への関心低下、スマートフォンの普及などによる影響の可能性を指摘し、読書への関心を高める具体的方策として家読を挙げている。
 国見町で九月八日、家読の普及を進める「福島うちどくネットワーク」が子どもの読書活動推進フォーラムを開いた。「絵本の魅力・家読のすすめ」をテーマに関係者が討論した。本の扱い方や読み聞かせの基本を学んだ小学六年生の「子ども司書」が活動や図書館への要望を発表した。好きな本や作家に夏川草介[なつかわそうすけ]さん著「神様のカルテ」や直木賞作家東野圭吾[ひがしのけいご]さんの名前を挙げ、大人を感心させた。
 ネットワーク顧問で「家読推進プロジェクト」代表を務める佐川二亮[さがわつぐすけ]さん(矢祭町出身)は、「丁寧な家庭の在り方を示す形が、まさに家読の神髄」とする。読書は家庭のコミュニケーションと地域活性にも結び付くという。福島民報は土曜日の読書面や木曜日の生活面などで、話題の新刊や親子で楽しめる絵本を紹介している。読書の秋。どんな本でも、一日何分でもいい。意識することで、豊かな時間を生み出せる。(佐藤克也)

カテゴリー:論説

論説

>>一覧