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【自転車の事故防止】スマホも飲酒もダメ!(9月25日)

 身近で手軽な乗り物である自転車を巡り、利用者なら誰でも心に置くべき出来事が相次いでいる。
 スマートフォンを操作しながら電動アシスト自転車に乗り、歩行者にぶつかって死亡させた川崎市の元大学生に先月、重過失致死罪で有罪の判決があった。福岡県田川市では今月、女性が自転車の酒酔い運転で逮捕された。横浜市では母親が「抱っこひも」で一歳の男児を胸に抱えたまま電動アシスト自転車に乗って転倒、男児を死なせてしまい、過失致死容疑で書類送検された。
 免許のいらない乗り物とはいえ、自転車が社会の規範や交通ルールの中にあり、乗り手が加害者となる場面がすぐそばにあることをしっかり認識しなければならない。
 人通りの多い場所で、歩きながらスマートフォンの画面に見入っている人にぶつかりそうになった経験がある人は多いだろう。スマホを利用している際の視界は二十分の一に狭まるとされる。
 こうした「ながらスマホ」が歩行者よりスピードがある自転車だったら、危険性はさらに増す。「ながらスマホ」で死亡事故を起こした元大学生はイヤホンをして音楽を聴いていた。周囲への注意は散漫だったろう。
 「ながらスマホ」も、飲酒運転も、子どもを抱っこしての自転車も、当事者がそうした行為によって事故が生じた場合の重大性を想像していないのが特徴ではないか。
 警察庁の集計では自転車関連事故件数は減少傾向にある。しかし交通事故全体に占める割合は20%前後で横ばい傾向が続いており、重点的な対策が求められる。自転車の運転に注意を促すため、道路交通法の改正によって二〇一五(平成二十七)年六月からは信号無視、一時不停止、酒酔い運転などを繰り返すと、運転者講習を受けなければならなくなった。
 事故を減らすには、さまざまな場面での啓発も重要だ。学校現場や職場での安全指導が必要だ。自転車の販売店が、購入者に安全運転の基本的なルールをじっくり説明する時間があってもいいのではないか。ヘルメットの着用も子どもや学生だけでなく幅広い年代で広まっていい。
 自転車事故でも重大な結果を招けば刑事、民事両面での責任を問われる。高額な損害賠償を求める判決も出ている。被害者保護の面からも、自転車事故の保険加入が当たり前のルールになっていくべきだろう。不幸な事故を少しでも減らすため、家族でも一声注意しよう。(佐久間順)

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