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楽都郡山10年、今後も期待(9月30日)

 季節はまさに芸術の秋、音楽界はコンクールシーズン真っ只中[まっただなか]である。合唱の分野で見れば、NHK全国学校音楽コンクールが、県大会・支部大会を終え、全国大会を待つばかりである。東北ブロックから全国大会へ駒を進めることができるのは高校二校、小中学校各一校の狭き門である。高校の部は郡山高・安積黎明高が、中学校の部は郡山第五中が金賞を受賞し全国コンクールへの出場権を得、中高部門の東北ブロック枠は郡山市内校が独占することとなった。
 また、全日本合唱コンクールはこの週末に東北支部大会が開催され、各部門ともに全国大会出場に向けて、大いに期待の持てるところである。特に高校部門では県大会に出場した郡山市内六校全てが東北支部大会に駒を進めている。合唱王国ふくしまと言われるその中でも郡山市内の各校は別格に力を付けていると言える。
 郡山市が平成二十年三月に「音楽都市宣言」をしてから十年半が過ぎた。この間、楽都として市の内外に向けて意欲的に事業を展開してきたことに拍手を送りたい。その年に活躍した合唱・器楽等音楽団体の演奏を市民に披露する「ハーモニーコンサート」や郡山出身の指揮者、本名徹次氏を迎えてのプロオーケストラと市民による音楽会「ふれあいコンサート」など温かな企画が定着している。
 また、注目したいのは小中学校の音楽振興への支援活動である。十数年前から行ってきた各学校合同の講習会と指導者のための研修会を、六年前からは組織を確立し、市教委の主導で開催している。「心のハーモニー学校音楽振興事業」と名付けられ、合唱交流事業・合奏交流事業・指導者養成事業から成る。学校の枠を超えて児童生徒が集い、中央の招聘[しょうへい]講師から直接に指導を受ける。また、各校指導者も、より高い音楽活動のための指導法・指揮法などの研修の機会となっている。このような取り組みは全国的にも例を見ない、楽都郡山の特筆すべき事業である。まさに郡山市による音楽教育への支援活動が今日の隆盛を支えてきたと言っても過言ではない。
 これからの十年、その先の十年楽都郡山はどんな目標を立て、どんな音楽都市作りに向かって歩もうとするのか、音楽専用ホールの建設も含めて大いに期待の高まるところである。
 ただ残念なことは、楽都郡山を代表する人気の高い事業「全国合唱祭」の開催を取りやめたことである。平成八年「水と緑の全国音楽祭」としてスタートしたこの事業は現在の名称に変えながら二十三年の歴史を重ねてきた。その年度の全日本合唱コンクール全国大会金賞受賞団体のいくつかを招待し、市内の優秀団体と共に全国トップレベルの演奏を繰り広げるという事業であり、入場整理券が入手困難なほどの盛況ぶりである。全国の合唱人からもこの音楽祭の取りやめを惜しむ声が多数寄せられている。音楽都市郡山が広く全国に発信する大切なこの祭典を、次年度以降、是非[ぜひ]復活してほしいと心から願うものである。
(菅野正美、県合唱連盟理事長)

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