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政治家と歴史(10月3日)

 首相官邸のホームページに歴代の首相の出身地(原則として戦前は出生地、戦後は選挙区)が記されている。都道府県で山口県が最も多い。
 伊藤博文[いとうひろぶみ]、山県有朋[やまがたありとも]、桂太郎[かつらたろう]、寺内正毅[てらうちまさたけ]、田中義一[たなかぎいち]、岸信介[きしのぶすけ]、佐藤栄作[さとうえいさく]、安倍晋三の八氏を数える。桂、佐藤、伊藤の三氏は通算の在職が七年を超えた。安倍首相の自民党総裁の任期は向こう三年にわたる。来年十一月を迎えれば、通算の在職日数は歴代トップに並び、憲政史上、最長をうかがう。
 戊辰戦争と明治改元から百五十年にちなんで、全国各地で行事が相次ぐ。安倍首相はかつての講演で、明治元年から五十年と百年の節目に、山口県出身の首相が巡り合わせた歴史を挙げた。そして今、百五十年に自らがその任に当たる。
 総裁選の訴えの中でも、明治維新や戊辰戦争を念頭に置き、長州(山口県)や薩摩(鹿児島県)、会津に触れた。過去の出来事を謙虚に学ぶ心構えは、政治家の大切な資質の一つといえよう。ただ、史実を都合よく読み解いたり、その場の盛り上げに安易に使ったりしていないだろうか。改造内閣が二日、発足した。歴史に誠実に向き合い、先人の戒めと教訓を心に刻み続けてほしい。

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