あぶくま抄・論説

あぶくま抄

  • Check

特撮よ永遠に(10月7日)

 銀色の巨大な宇宙人が、暴れる怪獣と戦う。戦艦が海中から現れて空へ飛び立つ。須賀川市出身の円谷英二は着ぐるみやミニチュアを使った特殊な撮影の技術で独自の世界を作り上げた。没後半世紀近くたっても「特撮の神様」と評される。
 特撮の魅力の一つは手作り感やぬくもりにある。誰も見たことがない映像で観客をびっくりさせたい。「ゴジラ」第一作は六十年余り前の公開だった。作品から円谷や弟子たちの情熱が伝わってくる。模型だと分かっていても心が引きつけられる。須賀川市と県は来月、特撮文化を盛り上げる組織をつくり、担い手の育成などに取り組む。
 今はコンピューターグラフィックス(CG)が全盛となった。スマホでも合成映像が作れる。お金も手間も時間もかかる特撮作品はめっきり減った。保管にも費用が必要だからか、貴重なミニチュアや資料の数々が失われかねないという。
 日本ならではの文化として保護が大切との声も上がっている。数年前、映画監督の庵野[あんの]秀明氏を館長とした企画展「特撮博物館」が全国で開かれ、庵野氏が魅力を改めて訴えた。市と県の挑戦は観客の心をとりこにする第二の円谷の誕生につながるか。

カテゴリー:あぶくま抄

あぶくま抄

>>一覧