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【日本一の福島の酒】「来て」もらう引力に(10月10日)

 多くの日本酒ファンが「にいがた酒の陣」という大イベントをご存じだろう。毎年三月、新潟県の約九十蔵、約五百種の日本酒と自慢の食が新潟市にそろう。今年は二日間で過去最高となる十四万人超の入場者を集め、酒だけにとどまらない経済効果をもたらしている。本県の日本酒は全国新酒鑑評会で金賞受賞数六年連続日本一という快挙もあり、知名度や評価が大きく向上している。「全国区」となった今、本県に観光客を呼び込む切り札とする作戦を上手に練ってほしい。新潟のような「酒の陣」も大いに参考にしたい。
 「うまい」県産酒の評判が広がり、首都圏などで開かれる日本酒イベントは好評だ。
 県が新橋駅前で開催して三回目となる「ふくしまの酒まつり」は先月、約三万八千人が来場し、過去最高のにぎわいとなった。県酒造組合が八月に渋谷のホテルで開いた「ふくしま美酒体験」も過去最多の来場。両イベントともサラリーマンから若い女性まで幅広い年齢層を集めた。
 先週、閉会した県議会の常任委員会と総括審査会でこうした話題が取り上げられた。質問した自民党の県議は、県外で県産酒の魅力をアピールする意義と成果を評価するとともに、福島に来てもらう工夫をもっとしてもいいのではないかと提案、「にいがた酒の陣」を事例に挙げた。
 「にいがた酒の陣」は新潟県酒造組合が五十周年を記念して二〇〇四(平成十六)年に第一回を開催、年ごとに入場者を増やしている。チケットは前売り二千円、当日二千五百円。入場時に渡されるおちょこを手に、ずらりと並ぶ蔵元のブースを回り、高級酒、限定酒などさまざまな酒を試飲できる。海の幸、山の幸、すし、ラーメンなどの食や各種イベントも満載で、チケット、新幹線、宿泊をセットにした旅行商品もある。酒の魅力を引力に、周辺産業を巻き込んだ一大観光イベントとして定着している。
 県内でも新酒の時期などに各地域の酒造組合などが主催する日本酒イベントが開かれるが、地元からの来場がほとんどだ。
 本県を訪れる観光客数は回復基調にあるが、二〇一七年ではまだ震災前の95%だ。県の公式イメージポスターは「来て」と強く訴える。県外から来てもらうきっかけに、「日本一」の冠はこれ以上ない引力だ。県は「酒の陣」のようなイベントを研究、検討するという。県酒造組合も開催の可能性を探る。世間の注目を逃さず、時宜を捉えた判断をしてほしい。(佐久間順)

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