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にろく大学(10月10日)

 サラリーマンや公務員が七十歳まで働き続ける時代は来るのか。政府が目指す生涯現役社会の足音が近づく。少子化による働き手不足をお年寄りに頼って解消する。公的年金の給付開始の時期も見直す。「老後の楽しみ」はしばし、お預けとなる。
 シルバー世代の元気な声が絶えない団体が会津若松市にある。「にろく大学」は六十歳以上の学生が月一回の全体学習会と短歌、俳句、舞踊など趣味の十一教室で教養を高める。なぜ学ぶのか。「進展する時代社会の中で、停滞すれば枯れる」ためだと、大学憲章は唱える。
 歴史は古い。一九六九(昭和四十四)年、生涯学習団体の全国の先駆けとして始まった。県内外から注目を集め、創立時には文部相(現文部科学相)から祝電が届いた。これまで行政の支えを受けず、学生の会費と寄付のみで運営してきた。
 創立五十年を迎え、学生がそれぞれの役割を担い記念文化祭を準備する。十八日には学習発表会を予定している。憲章には「老若男女、誰一人として無用無役なものはいない。現在の立場で果たすべき務めに精進する」との誓いも込めた。年とともに経験を重ねる。老いの値打ちを問いながらの活動が続く。

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