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建築家・江川三郎八(10月11日)

 床柱のケヤキは、木目が上へ上へとせり上がる。「触ると出世できると伝わります」。学芸員が説明する。言い伝えにあやかろうと、大人も子どもも次々と手を伸ばす。
 国指定重要文化財「旧亀岡家住宅」は、伊達市保原総合公園に立つ。外観は洋風、内部は和風で仕上げられている。一九〇四~〇五(明治三十七~三十八)年ごろ、桑折町に建てられ、一九九五(平成七)年に移築された。内装に鉄刀木[たがやさん]や紫檀[したん]、花梨[かりん]を使う。東南アジアなどで産出され、堅く、丈夫で長持ちする。阿武隈川で採れた貴重な埋もれ木も運んだ。銘木を多く用い、造りにも技巧を凝らす。
 旧会津藩士の三男だった江川三郎八[えがわさぶろうはち]の設計とされる。本県と岡山県で建築技師を務めた。岡山では多くの建物が文化財として保存され、「江川式建築」として評価が高い。本県でも手掛けた。自伝「生い立ち之記」などで詳しく分かる。旧亀岡家住宅と、郡山市の安積高にある国重文の安積歴史博物館が今も残る。
 県歴史的建造物保全活用促進協議会は十一月下旬、伊達市保原町でパネル展や講演会を開く。岡山県の江川三郎八研究会が協力する。会津が生んだ「天才建築家」の業績に光が当たる。

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