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戻らぬ企業、残る風評 浜通り 2018ふくしま知事選/地域は今(上)

 任期満了に伴う知事選に立候補した現職内堀雅雄(54)、自営業の新人金山屯[じゅん](78)、IT会社経営者の新人高橋翔(30)、共産党県委員長の新人町田和史(42)の四候補は県内各地を遊説するなどして東日本大震災、東京電力福島第一原発事故の復興施策や人口減少対策などを訴えている。県民は次期知事に何を求めるのか。地域が抱える課題に迫る。

 知事選の告示から一夜明けた十二日、富岡町中心部の商業拠点さくらモールとみおかを訪れた町民は買い物の傍ら、立候補者のポスター掲示板に目を向けた。施設は買い物客でにぎわうが、近隣商店街は空き地が目立ち、復興が道半ばの状況を物語る。
 浜通りでは福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想に基づく廃炉研究の施設整備が進むなど産業復興の「芽」が出ている。一方、八月現在で避難区域などの十四商工会の加盟事業所のうち、地元で再開したのは八百九十四事業所と全体の三割となっている。
 双葉郡の各町村は地元事業者の呼び戻しと新規創業促進に同時並行で取り組んでいる。ただ、産業再生に向けて手厚い財源が確保されきた復興・創生期間は二〇二〇年度で終了する。産業団地の整備を進める富岡町は国に企業立地の補助制度などを継続するよう求めているが、明確な回答は得られていない。
 国の対応が見通せず、町内では事業者の帰還や進出への影響が生じかねないとの懸念が広がる。町商工会事務局長の横須賀幸一(63)は国、県の支援の重要性を強調し、「国は事業者のために早期に支援の方向性を明示すべき」と訴える。

 復興・創生期間終了後の支援継続を求める声は被災地の漁業、農業者からも上がる。
 試験操業による漁獲量は年々増え、二〇一七(平成二十九)年は三千二百八十一トンで前年の一・五倍以上となった。しかし、震災、原発事故前より価格が低迷している状況が続いている。大手スーパーでの「常磐もの」の販売など国の財政支援を受けた取り組みは緒に就いたばかりだ。
 いわき市の小名浜機船底曳網漁協に所属する志賀金三郎(71)は「本県の風評払拭(ふっしょく)や販路拡大を引き続き後押しするよう、知事は国にしっかりと求めてほしい」と願う。
 農業は、津波の塩害からの復旧や放射性物質の除染などが農地で進んだ。ただ、多くの農業者が避難し、地域の共助による農地管理などが困難になった。イノシシ対策など震災前より作業の負担は増しているが、若い担い手の帰還が少ない状況だ。
 南相馬市小高区の農業法人紅梅夢ファーム社長の佐藤良一(64)は「国の支援の必要性は復興・創生期間後も変わらない」と県が必要な事業の継続を国に確約させるよう求めた。

 被災地の復興に向け、内堀は復興・創生期間後の組織、制度、財源の確保、新産業分野への地元企業の参画支援や販路開拓などを掲げ、復興加速化を訴えている。
 町田はイノベーション・コースト構想など大型事業のみに頼らない復興を強調。国や東電に「県民の立場で物言う県政」の実現などを強調している。
 金山は都市改造プロジェクトによる復興などを掲げる。高橋は海外からの観光誘客による被災地振興などの考えを示している。 (文中敬称略)

カテゴリー:主要 , 福島県知事選

建物解体の跡地が目立つ富岡町の商店街。地元事業者の帰還はまだ途上となっている=12日
建物解体の跡地が目立つ富岡町の商店街。地元事業者の帰還はまだ途上となっている=12日

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