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【須賀川の複合施設】中心街復興の弾みに(10月17日)

 須賀川市の大規模複合施設「市民交流センターtette(テッテ)」が完成した。市が東日本大震災の復興事業の柱として中心市街地に建設した。来年一月十一日の開館に向けて準備が進む。随所に工夫があり、期待が高まる。
 震災で壊れた市総合福祉センターの跡地にある。子育てと市民活動を支援する役割を引き継ぎながら、老朽化した図書館と中央公民館も移設し一体化した。同市が生んだ「特撮の神様」故円谷英二監督の顕彰ミュージアム、コミュニティー放送「ウルトラFM」、起業希望者向けチャレンジショップ、コンビニエンスストア、イベントホールも構える。市民と三十五回の意見交換会を重ねた。鉄骨五階建ての中にまちづくりの夢を詰め込んだ。大切に活用するべきだ。
 「人を結び、まちをつなぎ、情報を発信する場」を目指す。愛称の「テッテ」には市民が手と手をつなぐ意味を込めた。「機能融合」という手法を用いて具体化した。施設内を単に機能別に仕切るのではなく、吹き抜けやスロープで各空間を緩やかに連結した。利用者の視線と動線をつなげで行動を促す仕掛けで、斬新さがうかがえる。
 図書館は本を一カ所に集約せず、通路続きの上下階にも配置した。利用者が回遊し、交流の促進が期待できる。
 一階は東西玄関の間を通り抜けにした。東の松明[たいまつ]通りと西の田善通りを結び、人の流れを作る効果が見込まれる。
 外壁にガラスを多用し、各階にテラスを設けた。建物内の様子が通りから見え、まちのにぎわいに広がりを生む。
 子どもの屋内遊び場「わいわいパーク」も特徴的だ。県内では珍しいネット遊具を備えた。階上の図書館から続く児童用図書室も設置した。親子の「遊・学・相談」に同じ階で対処できる利点がある。
 円谷監督のミュージアムは功績や特撮に関する資料、書籍を集める。巨大なゴジラ像なども展示する。松明通りにあるウルトラマン像や怪獣像を見に来た観光客が立ち寄る拠点にもなる。
 他の施設と競合しないよう温泉やジム、飲食店の入居は見送られた。だが、物産館はあってもいい。既存の物産施設は郊外の観光地・須賀川牡丹園前にあるため、にぎわう季節が限られる。中心街にもあれば通年で訪れやすい。
 施設を造って終わりとせずに、生かし切る努力が求められる。集客力の高い催事などを充実させる必要がある。市は魅力づくりを開館後も続けてほしい。市が唱える、単なる復旧ではない「創造的復興」につながる。(高橋英毅)

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