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【臨床研修医最多】定着へ一層の連携を(10月20日)

 二〇一九年度から県内で卒後臨床研修を受ける新人医師は過去最多になる見通しだ。県や福島医大、各病院などの連携が実を結びつつある。若手の定着に向けて、一層の工夫と努力が求められる。
 医師国家試験の合格者は二年間、臨床研修で幅広い診療科を学ぶ。研修先は学生や受け入れ病院の希望を基に、日本医師会や全国医学部長病院長会議などでつくる協議会がマッチング(組み合わせ)に当たる。
 協議会が十八日に公表したマッチング結果によると、研修先に指定された県内十八病院の内定者は計百二十人で、前年度の内定時より十人増えた。東日本大震災、東京電力福島第一原発事故の影響で落ち込んだ二〇一一(平成二十三)年度の六十一人から、ほぼ倍増した。
 福島医大医学部の入学定員は二〇〇七年度まで八十人だった。翌年度から段階的に増え、二〇一三年度以降は百三十人となった。その入学者の卒業が増加要因に挙げられる。一定期間の県内勤務を義務付ける県独自の修学資金貸与制度なども成果につながった。福島医大の定員増は臨時的で、二〇二〇年度入学以降は決まっていない。今後も維持されることを望む。
 医師確保を競う病院同士が手を携えているのも大きい。県と十八病院でつくる臨床研修病院ネットワークは診断技術や症例検討などの連携指導に力を入れ、県全体の研修レベルを高めている。首都圏での説明会も合同で開き、「オール福島」の強みを説く。
 県内の人口十万人当たりの勤務医数(二〇一六年末)は一九五・七人で、全国四十二位にとどまる。地域や診療科による偏りも課題として残る。研修医は増えているが、二〇一九年度の受け入れ定員に占める充足率は74・5%で、全国平均の81・7%を下回る。臨床研修病院ネットワークを統括する福島医大医療人育成・支援センターの大谷晃司センター長・主任教授は「県外から大勢の若手を呼び込めるような研修の先進県にする必要がある」と指摘する。
 臨床研修を終えた医師が新たに病院を選び、専門医になるための高度な研修を受ける新制度が今年度から始まった。「福島なら最先端の医療が学べる」と注目されるような養成プログラムの充実が欠かせない。
 勤務条件、家族を含めた生活環境を整え、働きやすさ、暮らしやすさを本県の特色にする取り組みも進めなければならない。研修医や学生を温かく迎え、育てる風土の醸成も大切だ。(渡部育夫)

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