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【復興の進化】浜通りの将来像示せ(11月13日)

 内堀雅雄知事の二期目がスタートした。「復興の進化」を公約に掲げ、当選後は「これまでと同じことをしていても未来は開けない」と述べた。まさにその通りだ。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復旧・復興は着実に進んできた。ただ、最大の被災地である浜通り地方にはいまだに課題が山積し、停滞感も漂う。知事には住民が希望の持てる将来像を施策も含め改めて示してほしい。
 震災と原発事故から七年八カ月が経過し、浜通り地方の市町村を歩くと、復旧・復興の進度差が目立つようになっている。社会や生活の基盤が整い、住民が戻っている地域がある一方、帰還困難区域を抱え、復旧・復興事業が緒に就いたばかりの地域もある。それぞれの地域の内実は見掛けほど単純ではない。
 比較的復旧・復興が進んでいても、生産年齢人口が激減し、医療、介護、販売など住民サービスを支える人材の確保がままならなかったり、基幹産業の再生に頭を痛めたりしている市町村が目立つ。帰還困難区域を抱える町村は社会資本の再建という当面の課題に加え、故郷に戻ってなりわいを再生させた住民や新たに事業を起こした人たちへの目配りを並行して進めなければならないのが実情だ。
 複雑に変化する被災地の状況に、国や県の復旧・復興施策が的確に対応できているとは言い難い。福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想という柱はあるにしても、目の前に次々と現れる課題をいかに克服し、構想の実現を図るかがさっぱり分からない。停滞感が漂うのは、「夢と現実」「未来と今」を結び付ける「青写真」と具体的な施策が欠落しているためではないのか。
 住民とじかに接する市町村は日々、対応を迫られ、懸命に向き合い続けている。職員は疲弊し、広域的な課題などへの対応には限界も見える。地元の関係者からは「もう少し、役割を果たしてほしい」と国や県への不満が漏れる。このままだと、これまで積み上げてきた復旧・復興の成果が水泡に帰し、住民のやる気をそぎかねない。
 二〇二〇年度末で復興・創生期間が終わる。その後の本県復興に国がいかに取り組むかが焦点になっている。財源と組織が存続しても、旧態依然とした施策が続くようでは先を見通せない。住民目線で施策の成果と課題を洗い出し、現状を踏まえて将来像を再構築する。一義的な責任は国にあるにしても、それが県がなすべき「復興の進化」の第一歩だ。(早川正也)

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