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待ちきれない返事(11月21日)

 心を込め、したためた手紙の返事は誰しも気になる。清少納言は枕草子で「いまは持て来ぬらむかし、あやしう遅き」と表す。今頃は持ってきているだろう、妙に遅い-。じれったい思いは平安の昔も今も同じか。
 返信を待つ時間が長くなりそうな動きが出てきた。日本郵便は総務省に配達ルールの見直しを要望した。同社によると翌日の配達を原則しない方針という。土曜日をやめて平日限定で届ける。実現すればこれまで金曜日にポストに入れれば週内に着いた地域の普通郵便は、月曜日に着くことになる。実施については総務省が今後、検討する。
 翌日届けるサービスを維持するために社員は夜間、仕分けをしている。働き方を見直し負担を軽くすることが理由の一つという。インターネットが普及し、郵便量がピーク時に比べ三割減った。収支を考慮する台所事情もあるようだ。
 枕草子では待ちわびた返事は結局来なかった。「受取人不在」などの理由で文が戻ってくる。がっかりした思いを清少納言は「すさまじき(興ざめな)もの」とした。手紙のやりとりは善くもあしくも心に張りを与える。往復する時間が延びたとしても、それだけは変わらない。

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