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「ハルキ・ワールド」(11月26日)

 作家の村上春樹さんは毎年、ノーベル文学賞の有力候補に名が挙がる。熱心な読者の期待は年々、高まる。今年は発表が見送られた。受賞を祝おうという「お祭り騒ぎ」は影を潜めた。
 十一月上旬、母校の早稲田大で報道陣の前に姿を現した。原稿や翻訳された著作、蔵書、レコードを託すと明らかにした。国内では三十七年ぶりの記者会見となった。資料の寄贈を「きちんと話さなきゃいけないと思った」と理由を語った。大学は国際的な研究センターを設ける。
 三年ほど前、郡山市で催された「ただようまなびや 文学の学校」に特別参加し、創作の舞台裏を披露した。当日まで内緒にされ、来場者を驚かせた。県内の高校生と語り合う場にも臨んだ。自分をどう表現していいか分からない、との悩みに助言した。「表現できないことを恐れてはいけない」。心のこもった言葉は、多感な十代を勇気づけた。
 今年、名前を冠したラジオ番組に出演した。お薦めの曲を流す。小説や音楽、マラソン…。話題は豊かだった。八月と十月に続いて、十二月十六日も放送を予定する。次回作が気にかかる。電波でも身近になった「ハルキ・ワールド」を楽しもう。

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