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厄介なイノシシ(11月27日)

 「雀[すずめ]の酒盛りは雨」「燕[つばめ]が高く飛べば晴れる」「烏[からす]が騒ぐと風が出る」。気象にまつわる言い伝えが県内各地に残る。観測装置がなかった時代、身近な動物の営みから天気を予想した(藤原仁著「福島の天気-暮しとことわざ」)。
 人がいなくなると生き物の暮らしは変わるのか。十八日、国立環境研究所福島支部の研究員が郡山市で講演した。研究所が原発事故に伴う避難指示区域の内と外で生態系を調べた。区域内ではスズメとツバメ、カラスはあまり見られなかった。解除に向けて人が行き来するようになった地域ではカラスが増えた。ことわざに多くの鳥が登場するのもうなずける。
 人が住まなくなると増える動物がいる。イノシシの観察数は避難指示区域が多かった。仕掛けたカメラには子どもを従えて歩き回る姿が映る。区域内に限らず、県内の農作物被害額の半分は、この厄介者の仕業とされる。我が物顔で田畑を荒らす。安心して農作業にいそしめない。
 前のすみかに帰ってもらうのが何より良い。小型無人機「ドローン」に超音波発信器を付けて追い払う試みが進む。相手の行動を知り、いかに被害を食い止めるか。現代人の知恵が試されている。

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