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「季語」から「世界語」に(11月29日)

 須賀川市で毎年十一月に繰り広げる火祭り「松明[たいまつ]あかし」が冬の季語になった。風物詩「牡丹焚火[ぼたんたきび]」も一九七八(昭和五十三)年に採用されている。丸四十年を経て、二つ目の栄誉を得た。「俳句のまち須賀川」の魅力がさらに高まる。
 十一年ぶりに改訂された「俳句歳時記冬」(KADOKAWA)に収められた。地元の「桔槹[きっこう]吟社」を中心とした十年来の運動が実った。戦後を代表する俳人の故金子兜太[とうた]氏を招いて評価を受けた。季題にもたびたび取り上げた。掲載された地方の行事は二百数十に上るとされる。大半は京都や奈良、大阪、東京が占める。県内は「野馬追」を含めて三つとなった。
 炎の祭典が取り持つ友好関係も芽生えている。イタリア中部の街ファラ・フィリオールム・ペトリでは「聖アントニオ祭」を開いている。形態や規模がそっくりなことから、二年前に市民同士の交流が始まった。今年も現地から関係者が訪れ、言葉を超えて親交を深めた。
 五・七・五の響きを重んじる十七文字の作品は「最も短い文学」として親しまれている。欧州などでも愛好の輪が広がる。本県で生まれた言葉が新風を吹き込む。世界の共通語になる日を願う。

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