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喪中はがき(11月30日)

 来年の年賀はがきは十二月十五日から受け付ける。身内に不幸があり、今年は喪中はがきに代えた。十二月初めまでに投函[とうかん]するのが礼儀とされる。急いで出さないと…。気がもめる。
 年賀はがきは規則を定めた一九〇六(明治三十九)年、全国の郵便局で取り扱いが始まった。「お年玉つき」が最初に販売されたのは、一九四九(昭和二十四)年十二月だった。利用が高まり、前の年の三・五倍になった(小林正義著「みんなの郵便文化史」)。喪中はがきは「年賀欠礼状」とも呼ぶ。共に同じ時代に広まったという。
 年賀状は写真やイラストを使い、豊かな彩りを放つ。喪中は淡い色で、数行しかない。年末年始のあいさつができないことをわびる。印刷業者に頼んだり、自宅のパソコンで作ったりする。どんな挿絵を控えめに添えようか。字体は何にしようか。考えを巡らす。
 宛名だけでもと、万年筆を走らせるさなか、逆に一枚、二枚と届く。差出人の住所は同じ地名が多い。近くにいたのに初めて訃報を知るときがある。故人や遺族の名前を文面でたどる。元気だった頃の面影と一緒に、さまざまな思い出がよみがえる。改めて、大切な人を心に浮かべる。

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