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平成30年を振り返る(12月2日)

 今年も師走を迎え、一年の出来事を振り返る、慣例の十大ニュースが話題に上る頃となった。
 今年は例年に増して、自然災害に苦しめられた年だった。記録的な夏の猛暑、週末ごとに日本を襲った台風、多くの犠牲者を出した西日本豪雨、また地震も多く発生し、大阪北部や北海道胆振東部では死者を出す惨事となった。
 スポーツ界での不祥事も次々と発覚し、目を覆いたくなるような実態が明らかになっていった。日本相撲協会の暴力事件に端を発した内紛問題、日大アメフト部の悪質タックル強要問題、日本レスリング協会のパワハラ騒動、日本ボクシング連盟への告発問題等々。
 また、何よりも厳密公正に行われるべき大学入学試験において、女性差別の内部操作があったという東京医科大学の不正入試は、文部科学省幹部の汚職事件をきっかけに発覚した。さらに、国や地方の役所による障害者雇用の水増し問題は、各企業・事務所に対して監督指導すべき立場が、自らそれを破りごまかしていたという、何ともあきれた実態が浮き彫りとなった。この不正入試問題や障害者雇用の問題は、若者や障害のある人々の夢や希望を踏みにじり、将来をも奪う由々しき問題である。徹底した再発防止は勿論[もちろん]のこと、被害者となった方々への補償も責任を持って進めてほしい。
 本県にとって嬉[うれ]しい出来事もあった。五月に開かれた全国新酒鑑評会で県産酒十九銘柄が金賞を受賞し六年連続で金賞最多、新記録を達成した。
 六月には第六十九回全国植樹祭が天皇皇后両陛下をお迎えし、南相馬で盛大に開催された。昭和四十五年以来四十八年ぶり、平成最後の植樹祭となった。
 そして、手前味噌[みそ]の話題で甚だ恐縮ではあるが、十月に長野県で開催された第七十一回全日本合唱コンクール全国大会では本県から出場した中高生の大活躍が光を放った。高校の部Bグループで郡山高が金賞一位の文部科学大臣賞を、会津高が金賞第二位長野県知事賞を受賞した。また、中学校混声の部でも郡山第五中が金賞一位の文部科学大臣賞、郡山第二中が金賞第二位長野市長賞、さらに須賀川第二中も金賞を受賞して金賞受賞全五団体中三団体を本県勢が占めるという快挙を成し遂げた。同声の部では福島第一中が金賞を、二本松第一中、会津若松第四中が銀賞を受賞した。
 全国大会の檜[ひのき]舞台に立ち最高の演奏をと願う生徒と指導者の熱い思いはどの学校も同じである。しかし、本県から出場の八校は、その音楽のあるべき姿にひたむきに対峙[たいじ]し、作品の原風景に誠実に近づこうとする凛[りん]とした空気感を漂わせていた。まさに気品と品格を兼ね備えた演奏は、これこそが王国と呼んでいただける所以[ゆえん]であり、福島のプライドだと実感した。
 戊辰戦争から百五十年、会津白虎隊や二本松少年隊の気高い精神は、今もふくしまの若者たちの中に脈々と受け継がれ、それを違[たが]わず導き続ける指導者たちの凄[すご]さに改めて感動する瞬間だった。(菅野正美 県合唱連盟理事長)

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