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【福島圏域の市町村】同じ方向を目指せ(12月3日)

 福島、宮城、山形三県で隣接する十一市町村が「福島圏域連携推進協議会」を設立し、県と市町村の枠を超えて地域振興を目指す取り組みを始めた。連携の相乗効果を高めるには、各市町村の特長を生かし、伸ばすとともに、それぞれの意向をうまく調整できる体制づくりが不可欠だ。
 協議会は福島、二本松、伊達、本宮、桑折、国見、川俣、大玉、飯舘の県内九市町村と宮城県白石市、山形県米沢市で構成する。少子化、若者の流出などで人口減少が進む中、医療や福祉、産業振興などの分野で効率的な事業を展開する。
 主な事業では、人口増を目指して合同移住セミナーの開催、出会いの場づくりなどを共同で進める。観光・交流人口の拡大に向け、各地の道の駅を巡るツアーを企画したり、各市町村のホームページを相互に利用したりして観光情報を発信する。応援協定を結んで大規模災害に備える仕組みもつくる。まずは、これらの事業を円滑に進め、足場を固める必要がある。
 協議会は、国の財政支援を受けられる「連携中枢都市圏」の形成を見据える。東北地方では、青森県八戸市を中心にした「八戸圏域連携中枢都市圏」と、盛岡市を中枢都市とする「みちのく盛岡広域連携中枢都市圏」が既に誕生している。
 八戸、盛岡両圏域ともに産学官の共同研究、新製品の開発支援などによる全体の経済成長、高度医療の提供や高等教育環境の整備などによる都市機能の強化、地域医療の確保や公共交通網の充実などによる生活関連サービスの向上に取り組んでいる。
 この中で、八戸圏域の試みが興味深い。八戸市を中心にした圏域内八市町村の路線バスは、料金に上限を設けて安く乗れる。過疎・高齢化が進む地域の路線バスの維持は採算面で厳しい面がある。国の交付金を役立てることで、暮らしの足を確保できるのが利点だ。高齢運転者の免許証返納後の乗用車に代わる交通手段としての役割も担う。
 八市町村で構成する盛岡圏域は、企業四社を誘致する目標を達成するなど、各分野で一定の成果を挙げている。新たな事業を興す際は、各市町村が目指す方向性をどう同じにするかが鍵になるという。
 地方が抱える悩みは共通する。個別の事業や直面している課題を含め、先進例は参考になる。県内では郡山市と近隣十四市町村が中枢都市圏形成を目指している。福島圏域の実現と合わせ、圏域間が連携できる枠組みも検討してほしい。(五十嵐稔)

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