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【NPO法施行20年】課題解決の原動力に(12月4日)

 特定非営利活動促進法(NPO法)は一九九八(平成十)年十二月に施行され、二十年が経過した。光の当たりにくい社会問題に向き合うNPO法人が全国で五万一千余り設立されている。「新しい公共」「共助社会」に代表される考え方が広まったのは大きな成果と言える。
 県内には十月末現在、認証を受けた九百二十の法人が活動する。医療・福祉、まちづくり、スポーツ、環境保全、子どもの健全育成などと多分野にわたる。県によれば、二〇一〇年度に四十八だった認証数は、東日本大震災が発生した二〇一一年度は七十四、二〇一二年度は百八と倍以上に増えたという。自発的に社会の課題を解決しようとする取り組みは貴重であり、息の長い活動を続けるためには工夫が肝要となる。
 具体的には資金難の問題がある。収入は事業収入をはじめ、補助金や会費、寄付などを柱としているが、寄付の占める割合は極めてわずかなのが実態だという。クラウドファンディングなどのインターネットを活用する団体も増えている。欧米に比べ低いとされる寄付文化をどう根付かせるかが鍵となる。
 「これからの非営利法人制度を考える」と題したシンポジウムが二日、福島市で開かれた。認定特定非営利活動法人・市民公益活動パートナーズ副代表理事の松田英明氏は全国のNPO法人数が今年になって減少に転じた点を挙げ、「曲がり角に立っている。不祥事も起きている。地域の信頼を失えば取り戻すのは容易ではない」と危機感を示した。一般社団法人に比べ、煩雑で時間がかかるという認証手続きなどに改善の余地はある。松田氏は地方から声を発する必要性を強調した。
 行政とは異なる社会の担い手として、変革の動きをつくり出すNPOは今後も重要な役割を果たす。いわき市のNPO法人TATAKIAGE Japan(タタキアゲ・ジャパン)は二〇一五年から、浜通りの活性化に向けて学生や社会人がアイデアを市民に呼び掛ける「浜魂(ハマコン)」を開催している。
 地域に役立ちたいという若者の思いを、巧みにすくい上げている。「挑戦できる街」の具現化は高く評価できる。地方新聞四十六紙などによる「第九回地域再生大賞」の第一次選考を通過した。
 非営利組織を次代に残すためには各種団体・個人からの寄付、行政や企業との協力関係が不可欠だ。
 情報を開示し、透明性を確保することが幅広い支持の獲得につながる。(浦山文夫)

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