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【Jヴィレッジ】利活用を幅広く(12月6日)

 Jヴィレッジ(楢葉・広野町)は七月末に再開して四カ月が過ぎた。本県の復興を象徴する施設に位置付けられている。しかし、まだ風評と認知度不足の中にある。利活用を増やすために知恵を絞る必要がある。
 震災前からサッカーに加えてラグビー、バスケットボール、バレーボール、バドミントン、ラクロスなどの競技にも使用されていた。再始動した施設はさらに利便性を高め、さまざまな使い道に対応できる。
 新しいホテル棟を設置し、客室は震災前の倍以上の二百室とした。屋根付きの全天候型練習場はスポーツだけでなく、小型無人機(ドローン)の飛行実験にも使える。ビジネス会議や講演会なども開ける会議室やコンベンションホール、宴会場を充実させた。
 再開以来、地元のNPO法人がベラルーシと日本の学生の交流会を開いたり、高校生が考える防災サミットを企画したりしている。東京五輪・パラリンピックの運営会議や大学の各種同好会の合宿などにも使われている。十一月下旬に南相馬市のNPO法人などが主催したウォーキングサッカー全国交流会は、利活用につながる一つの方向を示した。
 走らないサッカーとして英国のイングランドで生まれた。二十代から八十代までの老若男女合わせて約百二十人が全国から集まった。その多くが宿泊し、友好の輪を広げた。関係者は健康スポーツに枠を広げれば、シニア世代を含めて一層多くの誘客につながるとの感触を得た。
 県と立地両町、日本サッカー協会、関係団体は検討会を設け、来年二月に最終報告をまとめる。コンサートやアートフェスも新たな活用方法として考えている。施設まで徒歩二分のJR常磐線に建設中の「Jヴィレッジ駅」は来年四月に完成する。開業は集客の後押しにつながる。
 再開後の八月から十月までの三カ月間の宿泊数は約九千三百人を数える。しかし、規模からみるとまだ少ない。宿泊者は施設に感激すると同時に、本県の安全や安心を実感し、復興が進む様子を全国に発信してくれているという。
 まずは多くの県民が訪れてほしい。同級会の会場にするのも良い。本県が誇る施設を自ら体験し、理解することは、復旧や復興への実感につながるはずだ。国や県には交通網の整備をさらに加速させることを望む。その上で、県民による利用増を図るために、新たな交通費補助などの周辺応援事業を積極的に検討するべきだ。(関根英樹)

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