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被害現状発信に課題 「3・11」から7年9カ月 東京電力廃炉資料館

 富岡町に十一月三十日に開館した東京電力の廃炉資料館には町内外から多くの来場者が訪れている。福島第一原発事故の発生当時の様子や廃炉作業の現状が学べる施設になっているが、事故による県民の被害を紹介する展示は少ない。(双葉南支局長兼いわき支社報道部・山崎 理史)

 館内に入ると、まず巨大な発光ダイオード(LED)ビジョン「エフ・キューブ」が目に入る。原発構内で撮影した映像が流れ、廃炉現場に立っているかのような臨場感を味わえる。他にも、拡張現実やプロジェクションマッピングなど最新技術を生かした展示が目を引く。
 東電によると、年間二万人の来館を目標にしている。開館した十一月三十日から十二月九日までの十日間では約千四百人だった。東電は来館者の意見を受け、映像を要約したパネルを設置するなどしている。
 展示は、事故を振り返る「記憶と記録・反省と教訓」と、廃炉事業の全容を紹介する「廃炉現場の姿」の大きく二つのゾーンがある。「反省と教訓」のコーナーは、原発事故を二度と起こさない決意を示す展示の柱になっている。
 「過酷事故対策の必要性を認めることで、現状の原子力発電所の安全性を証明することが困難になるのではないかと考えてしまいました」。展示のナレーションからは、事故の背景にある東電のおごりと過信を反省する言葉が次々に流れる。隣では、事故を経験した東電の社員がインタビューで当時を振り返る映像が放映されている。地元の行政関係者らはおおむね好意的に受け止めている。
 一方、展示は福島第一原発構内で起きた事象が中心で、放射性物質の大量放出に伴う避難や農林水産業の被害など県民の苦しみを示すものは少ない。東電は「県が整備するアーカイブ拠点施設との連携や、資料館が福島第一原発の情報を発信する施設として位置付けられていることなどを考慮した」としている。

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福島第一原発構内で撮影した映像が流れる廃炉資料館の「エフ・キューブ」
福島第一原発構内で撮影した映像が流れる廃炉資料館の「エフ・キューブ」

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