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ホタル舞う喜多方(12月12日)

 喜多方市で、仲間と共にホタルの保護に取り組んだ男性が十一月下旬、亡くなった。関本亨二[きょうじ]さん、八十一歳。十五年前に「ホタル夢づくり会」をつくった。先頭に立ち、活動した。
 喜多方はホタルと縁が深い。二〇〇六(平成十八)年、市の昆虫に定められた。旧五市町村の合併をきっかけに、市が公募で選んだ。市町村ごとに花、木、鳥がある。昆虫は当時、県内で初めてだった。以来、市民に最も身近な昆虫の一つになった。
 夢づくり会は、運営費の全てを市民からの善意で賄う。幼虫を育てて放流する。きれいな水の流れる自然環境が欠かせない。みんなで大切にした。発光する生態の謎を知る全八回の講座には、幼稚園児から中学生までの十七人が学んだ。身近に生きる小さな命に触れた感動を、卒業文集につづった。「光る姿を初めて見た」「雄と雌の見分け方を覚えた」。多くが来年も参加したいと締めくくる。
 「今年は例年よりもたくさん飛びましたよ。空の上から見守ってください」。関本さんが後世に残した確かな足取りが、告別式の弔辞に込められた。喜多方の夜を舞う淡い光は、遺志を継ぐ人々によって、いつまでも守り続けられる。

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