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【福島の五輪】ごみ減量をレガシーに(12月15日)

 福島市民の一人一日当たりのごみ排出量は全国的に見て高いレベルにあり、二〇一四(平成二十六)年、二〇一五年は十万人以上の都市で一位だった。不本意な汚名を福島市で開催される五輪をきっかけに返上し、環境都市を目指そう-というアイデアが唱えられている。タイトルは「ふくしまでのオリンピックにおけるエコなレガシーの提案」。何とか大きな流れにできないだろうか。
 提案は福島大が十二月一日に開いた研究・地域連携成果報告会で、同大の沼田大輔経済経営学類准教授が発表した。「環境」は五輪精神の大きな柱であり、二〇二〇年の東京五輪はリデュース(抑制)、リユース(再利用)、リサイクル(再資源化)といった資源管理を含む持続可能性を重視している。野球・ソフトボールの会場となる福島市でごみ減量へ市民の意識を変革するとともに、リユース食器使用の仕組みなどが整えられれば、五輪で期待される未来へのレガシー(遺産)の創出になる-という主張だ。
 一日一人当たりのごみの量は全国平均が千百十五グラムだった二〇〇六年、福島市は千二百五十三グラムで百三十八グラム多かった。減少傾向にはあったが、震災・原発事故があった二〇一一年からは増加に転じ、二〇一五年は全国の九百三十九グラムより三百九十グラムも多い千三百二十九グラムに達した。
 算定の基礎となる人口は住民基本台帳に基づくが、震災後は避難者や復興関係の人員によるごみや除染に伴う草木などが含まれたためどうしても増えてしまう。ただ、この量を除外しても全国と比べれば高止まりだ。
 福島市の廃棄物減量等推進協議会は十一月、二〇二一年度までに八百九十グラム以下という目標を達成できなければ、ごみの有料化もやむを得ないとする答申を出した。五輪という大きなイベントを挟みながら、現状より三百グラム以上減らすという目標はなかなか高いハードルとなるだろう。
 県は五輪のレガシー創出で市町村や民間団体を支援するという。人材育成、国際交流、観光といったテーマの一つに、ごみ減量を柱とする環境都市創造があってもいい。
 イベントでのごみ減量の一策として、京都の祇園祭などリユース食器を使用する例が増えている。食器を貸し出す自治体もある。福島の五輪にリユース食器を導入し、前後して市民ぐるみのごみ減量作戦を展開すれば五輪への参加意識も共有できる。熱意と工夫で楽しみながらハードルを越えれば市民にとって大きな財産になる。(佐久間順)

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