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悲しみの花束(12月18日)

 電柱の傍らに、花束が供えられている。福島市郊外の幹線道路で交通事故が起き、若い命が失われた。手向けられる花は絶えない。冷たい北風を浴びる。揺れる姿が悲しみを誘う。
 県内で交通死亡事故が相次ぐ。十二月に入り、四人が亡くなった。十六日現在で一月からの累計は六十九人となった。昨年一年間の六十八人を上回る。県警は取り締まりを強めている。交通指導員や交通安全母の会員の訴えが師走の街に響く。
 「1+1の答えは、2以外にはあり得ない」。長年にわたって交通捜査を担当する警察官は、例えて語る。ルールを正しく守りさえすれば、死亡事故という結果が導き出されることはない。他者へのいたわりも忘れてはならない-。繰り返し説く。
 最愛の人を奪われた側に、心の痛みが和らぐ日は来ない。悲嘆や憤りは拭い切れない。加害者が背負う代償も大きく、重い。歩行者をはねた男性は振り返る。「朝出掛けた時と、夜、帰宅した時で人生が一変していた」。その日を境に日常は崩れた。一瞬にして、夢や希望、笑顔を消し去る。一人一人が初心に立ち返ってハンドルを握り、決まりに沿う真摯[しんし]な姿勢が、自分や大切な人を守る。

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