あぶくま抄・論説

日曜論壇

  • Check

改正出入国管理法の深い闇(12月23日)

 年末年始を欧米で過ごすと、クリスマスの装飾が、そのままであることに気づく。最近の日本では、ハロウィーンの装飾の次はクリスマスで、十二月二十五日の深夜には、各店舗が新年の飾りつけで大忙しだ。明らかに商戦に乗り遅れまいと必死なのが分かる。
 クリスマスは英語のChrist(キリスト:救世主)のmass(ミサ:礼拝儀式)に由来している。キリスト生誕の祝日がクリスマスであり、カトリック教会等では一月六日の公現祭の後の最初の月曜日を降誕節の終わりと位置づけている。公現祭とは、六日をもって、イエスが神の子として異教徒にも示されたことを記念し、宗教的には一つの区切りとしてクリスマスの飾りつけが片づけられる。
 毎年、クリスマスは二十四節気の冬至に近い。二十四節気は一年を二十四に分けて季節の移り変わりをあらわしたもので、冬至とは、北半球では太陽の高さが一年中で最も低くなり、昼が一年中で一番短く逆に夜が長くなる。
 冬至を迎えたこの国の闇は深い。単純労働分野での外国人労働者の受け入れを認める「改正出入国管理法」が、参院本会議で賛成多数で可決した。これまで「外国人の単純労働は認めない」という、日本が長年続けてきた入管政策の大前提が変わる。日本に入る外国人を管理する法律である入管法を改正することで、単純労働でも外国人労働者の受け入れを行うことが可能となった。この問題の最大の闇は、外国人の労働を大幅に認めるとして、その給料や待遇などをだれが保障し、だれが権利の侵害から守るのか、ということだ。技能実習生を巡っては、すでに低賃金や虐待などが理由で職場から逃亡する例が報道されている。
 政府は当初、「特定技能1号」の枠で来日する人の滞在期限は五年までで、家族の同伴も認めない、としてきた。この在留資格は更新できず、五年の期限が切れたら、別の資格に切り替えない限り帰国することになる。つまり五年間、単身赴任を続けても構わない人しか、日本で働くことは認められない。試験などを受けて技能が認められた場合、熟練した技能や経験が必要な「特定技能2号」に資格を切り替えることができるが、家族同伴については政府が「個別の事情で家族同伴も認めることがある」という答弁書を出しており、その全体像ははっきりとしない。自国の労働力不足解消のために、他国の家族に五年間も離れて暮らすことを強いていいのだろうか。労働力の多様性を認めることと、労働者の人権を尊重することは異なる。
 クリスマスのメッセージは、「闇に光を」である。一年で、最も暗くなる大地の闇と、私たちの心の奥底の闇に光が灯[とも]される。桜の聖母学院では、創立八十周年を記念して、桜の聖母短期大学正面玄関前の常緑樹であるモミの木に、大きな星とイルミネーションを点灯させた。待降節を迎えた十二月三日から、公現祭の一月六日まで、夕方四時半から九時まで、福島市の一隅の闇に光を灯している。
 この国の闇にも光が欲しい。
(西内みなみ 桜の聖母短期大学学長)

カテゴリー:日曜論壇

日曜論壇

>>一覧