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宝を掘り起こし、磨く(12月30日)

 春の名所に、冬も光を当てる。二本松市針道の紅しだれ桜「中島の地蔵桜」は三十一日から一月三日にかけて夜、ライトアップされる。話題をつくり、地域に人を呼ぶ。地元の守る会がお膳立てした。
 樹齢二百年とみられる桜は、松に隠れるようにひっそりと立っていた。ほんの十年前まで、地元でさえ存在を知らない人がほとんどだった。木々の間からのぞく太い幹、かれんな花に魅せられた住民がいた。周りの木を刈り払った。名前を付け、売り込みに努める。今年の春は約二万四千人が集まった。県内の写真愛好者が選ぶ「県内一本桜番付表」で小結に昇進した。
 寒い季節にも趣向を凝らす。掘り起こした宝の価値をさらに高める。三十メートルにわたって張り出す桜の枝を投光器で照らす。幻想的な姿が浮かび上がる。花がなくても枝ぶりが映える。冬ならではの美しさを生む。近くの諏訪神社に訪れる初詣客に、甘酒などを振る舞う。
 守る会会長の鴫原俊郎さんは振り返る。「楽しみながら活動するのが長続きするこつ」。時には、広場に設けたトレーラーハウスで仲間と酒を酌み交わす。地域に眠る原石は県内にまだまだある。磨き方次第でまばゆさを放つ。

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