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地酒が結ぶ絆(1月8日)

 喜多方市内の酒蔵は冬の仕込み作業に活気づく。厳冬期は酵母を低温でじっくり発酵できる。気温はうま味や出来栄えを大きく左右する。
 時代とともに一部で機械化は進む。それでも最後に味を決めるのは杜氏[とうじ]らの腕と勘にかかる。県産酒は全国新酒鑑評会で金賞受賞の銘柄が六年連続で日本一になった。伝統の酒造りの技がある。うまいコメも採れる。ご当地米を使ったオリジナルの地酒の開発が県内各地で進む。
 市内高郷町揚津[あがつ]地区は、首都圏の住民と一緒に棚田で育てたコシヒカリを五年前から蔵元に持ち込む。昨年、大規模な地滑りがあった。地域で守る棚田に被害はなく、無事に特別純米酒を完成させた。南相馬市の有志は、三年前から地元産米の「夢の香」を喜多方の酒蔵に預け、純米酒にしている。三月に販売予定という。
 ある蔵元は数年前から商品化の依頼が増え始めた。今年は八銘柄の純米酒と吟醸酒などを請け負っている。大地の恵みを職人が丁寧に仕込む。一滴一滴が良質なコメと水から生まれる。まさに「酒は天の美禄」。風評被害の払拭[ふっしょく]、農業の再生、地域おこし…。多くの願いが込められた天からの贈り物は、きっと古里の味がする。

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