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【須賀川で芸術祭】特撮文化を広める(1月10日)

 文化庁メディア芸術祭地方展が二月二十七日から須賀川市を主会場に開かれる。あす十一日に開館する市の複合施設「市民交流センターtette(テッテ)」が舞台となる。地元出身で「特撮の神様」とされる故円谷英二監督の顕彰ミュージアム、図書館、地域コミュニティ放送「ウルトラFM」などの多くの機能を備える。それぞれの特性を連携させ、須賀川ならではの芸術文化の発信を願う。
 芸術祭は、デジタル技術で作られたアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの四部門の作品を審査し、展示する。受賞作を発表する中央展と、歴代作品や開催地ゆかりの創作品を紹介する地方展がある。
 須賀川市は復興事業が一段落し、市勢の発展期に入ろうとしている。文化による心の復興と地域の創造を掲げる芸術祭の目的が合致した。
 円谷監督を「メディア芸術の創始者」と位置付けた企画が注目される。顕彰ミュージアムとの協働で、特撮技術が現代にどう受け継がれているかを解き明かす。収蔵品の初代ゴジラを再現した撮影モデルから二〇一六(平成二十八)年公開映画「シン・ゴジラ」の製作資料までをまとめて見ることができる。ファンならずとも一見の価値がある。
 図書館は、メディア芸術の歩みを記した本や資料の開示拠点となる。施設内の公民館ルームや子育て支援の遊具コーナーともつながっている。幅広い世代が訪れやすく、芸術への親しみが深まる。
 ゴジラを参考に新たな怪獣を作り、ゲーム化を目指すワークショップも催す。施設の開館と同日に開局する「ウルトラFM」で取り組みを伝える。電波を活用した立体的なアピール手法で、一層の盛り上げが見込める。全国の作家の代表的作品の展示もある。
 施設は「機能融合」という理念で建てられた。施設内を単に機能別に仕切るのではなく、吹き抜けやスロープで各空間を緩やかに連結した。来訪者の視線と動線をつなぎ、回遊を促す。芸術祭では、一般利用者との出会いが相乗効果となり、にぎわいと活気が生まれると期待される。
 施設前の松明[たいまつ]通りには、円谷監督が手掛けたウルトラマンや怪獣の像が立ち並ぶ。市は特撮文化の継承と振興を目指し、アニメ・映画監督の庵野[あんの]秀明氏らの協力を得て推進組織を発足させた。特撮アーカイブセンターの整備計画も進める。芸術祭に当たり、会場となる施設のさまざまな機能を駆使して注目度を高め、特撮への関心と理解が広がるよう望む。(高橋英毅)

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