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感動をありがとう(1月13日)

 尚志は最後まで自分たちのパスサッカーを貫いた。全国高校選手権大会準決勝で、優勝候補の青森山田を相手に三点を挙げ、一時は勝利を予感させた。PKの末に敗れはした。果敢に挑んだ選手の勇姿は福島県のサッカーの歴史に刻まれる。
 スタンドには「必成[ひっせい]」の旗が掲げられた。建学の精神の一つ「尚志必成」から取った。志を高く掲げて努力する者は、必ずや人生の成功者となる。六年前に他界した創立者佐藤信[まこと]さんの信念に基づく。「存命であれば、先頭に立って応援していただろう。生徒の活躍を見せてあげたかった」。学校関係者は故人をしのぶ。
 「何でもいいから一番になれ」。佐藤さんの口癖だった。その言葉通り、部員は「全国制覇」を合言葉に、厳しい練習に打ち込んできた。高い目標があればこそ、高い志を持つ選手が県内外から集う。震災と原発事故の逆境を乗り越え、二度の全国三位を勝ち取った強さの源は、校名に宿る。
 一番は決して夢物語ではない。選手は優勝経験のある強豪校を次々と打ち破り、証明した。二年生の染野唯月[いつき]選手はハットトリックを決める活躍を見せた。頼もしい後輩が後に続く。いずれ頂点に立てる日が来る。

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