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【水素で走る車】いわきの取り組み期待(1月28日)

 いわき市に三月五日、県内初となる商用の定置式水素ステーションが開所する。市内を中心にガソリンスタンドなどを経営する根本通商が手掛け、燃料電池車(FCV)に動力源の水素を供給する。国の「福島新エネ社会構想」は本県を新エネルギー社会の先進地とする。利活用促進の面で支えてほしい。
 市は国の構想に基づき、新エネ社会の構築を目指している。エネルギーを、風力や石炭ガス化複合発電などで「つくる」、バッテリーや水素活用で「ためる」、FCVや防災用電源で「使う」の三つを一体的に進める。
 いわき商工会議所を中心に、市内の企業や団体は、いわきバッテリーバレー推進機構や水素エネルギー関連産業研究会などをつくった。新事業の創出や技術開発に取り組む。市の構想を民間組織が率先して具現化している。根本通商は、市や商工会議所の考えに賛同し、水素供給の拠点づくりを目指した。
 FCVは水素と酸素の化学反応で発生した電気を使い、モーターを動かす。二酸化炭素を排出せず、後には水だけが残る。地球温暖化防止への切り札として期待が高い。燃料充填[じゅうてん]にかかる時間は約三分で、電気自動車(EV)の充電時間に比べ、はるかに短い。燃料を最大限に満たしたときの走行距離でもEVを上回る。近距離ならEV、長距離ならFCVといわれる。
 一方で、FCVの課題は水素ステーションの整備だ。全国にまだ約百カ所で、燃料補給のできない県もある。いわきのステーションは商用としては県内三カ所目だが、先行している二カ所は移動式で容量が小さい。移動式の一日の水素供給量が乗用車数台分なのに対し、定置式は一日十時間の営業で約六十台分を賄える。FCVの県内本格導入の契機になる。
 いわき商工会議所は企業にFCV購入を働き掛け、開所までに市内で二十二台が登録される。さらに数社が導入を決めた。東北で最も多い仙台市の二十台を上回る。公共機関の登録車両が多い仙台に対し、いわきはすべて民間所有だ。新エネ社会を見据え、先頭に立って取り組む企業の姿勢を大いに評価する。いわき市は購入補助金の創設を検討している。
 浪江町には、二〇二〇年の東京五輪前の稼働を目標に、世界最大規模の水素製造拠点「福島水素エネルギー研究フィールド」の建設が進む。燃料供給源として、いわきの活動を支える。利点を生かし、日本一の新エネ都市をつくっていこう。(鈴木俊哉)

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