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どうなる、学校の部活動(2月3日)

 一月二十日、第二十四回全国都道府県対抗男子駅伝競走大会での福島県チーム初優勝のニュースは県内を喜びの渦に巻き込んだ。
 年明け早々の全国高校サッカー選手権大会第三位に輝いた尚志高校の大活躍に続き、福島県の若者達[たち]が大きな感動を与えてくれた。文化・スポーツともにこの福島で豊かに育まれる若い世代の躍進は県民の誇りと希望である。
 一方、国が示す部活動の在り方は大きな方向転換を図ろうとしている。昨年三月に各都道府県知事、教育長にスポーツ庁から示された「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの策定及び運動部活動の適切な運営等に係る取り組みの徹底について」に続き、十二月には文化部活動に対する同様の指針が文化庁から出された。県及び県内各市町村は文化庁通達を待たず、具体的なルールを提示して昨年夏頃から徹底を図っている。共通する概要は、休養日の設定(平日一日・土曜日曜一日以上)、一日の活動時間の制約(一日二時間・土曜日曜三時間程度)等、画一的な上意下達の規制と言わざるを得ないが、その先には十年以上前からの文部科学省の構想がある事を忘れてはならない。部活動を学校教育から切り離し、地域社会との共働活動として位置付けるという大きな変革である。今般の「学校における働き方改革」に絡め一気に加速しそうな勢いに思われる。
 問題は、地方に子供達を迎え入れ育む体制が整っていないことである。県内には、十分とは言えないまでも各スポーツクラブがあり、活動している。しかし文化系の受け皿は皆無に等しい。中央と地域の格差は如何[いかん]ともし難い。
 都市部の学校は既に部活動等の教科外活動を地域社会に委ねる仕組みが確立している。私の携わる合唱界を見ても、今年度の全日本合唱コンクール都道府県大会に出場した団体数は、福島県中学校五十七校・高校四十七校に対し、東京都は中学校二十校・高校二十三校、大阪はさらに少ない。人口比率、学校数から考えても都市部の少なさは一目瞭然、活動が学校教育から切り離されていることが分かる。国の方針が変わるとすれば、福島県でも子供達を豊かに育む環境を整えることが急務であり、各自治体が率先して組織づくりにかかわる必要がある。
 それにしても文化庁のガイドラインには目を疑うような内容もある。例えば、「技術の向上や大会での好成績以外にも、友達と楽しめる、適度な頻度で行える等多様なレベルやニーズに応じた文化部を設置する。」その具体例として、季節ごとに異なる活動を行う部、大会志向でなくレクリエーション志向で行う活動等を挙げている。
 この作成者の目線はどこにあるのか、部活動を大切な教育の一環とする福島県のような学校現場の声を聴き、その活動の場を目の当たりにしたのかなど強い疑問を抱かざるを得ない。
 今後教育界の構図がどのように変わろうとも、子供達に対して、スポーツや芸術文化を豊かに育むことを疎[おろそ]かにする事は許されない。(菅野正美 県合唱連盟理事長)

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