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【いわきの教育】郷土愛が未来をつくる(2月9日)

 いわき市は、キャリア教育に力を入れている。市教育大綱の基本理念に「地域全体で人を育て、誇れるまち“いわき”をつくる。」とうたう。年代ごとに事業を展開し、次代を担う人材育成を進める。児童生徒の生きる力を養うとともに、ふるさとの素晴らしさを伝える取り組みをさらに充実してほしい。郷土愛を誇れるまちづくりにつながる。
 二〇一四(平成二十六)年から「いわき志塾[しじゅく]」を継続する。中学生が、スポーツ選手や各分野の専門家、企業経営者らから、夢の実現に何をすべきかを学ぶ。ワークショップで成果をまとめ、発表する。結論に至るまでの話し合いや発表のために重ねる工夫は、生きる力を高める。
 同じ年、市内に開設した体験型経済教育施設(エリム)では、仮想の街で生産者や販売者、消費者を体験できる。小学五年生は経済の働きの基礎を学ぶ。中学二年生は生活するための費用計算をして、意思決定の力を養う。
 小中学生全員に配る「チャレンジノート」には、将来の目標や実現への努力事項、一年の振り返りを書き込む。教師が目を通し、助言する。
 いわきのキャリア教育の良さは、企業や団体の積極的な関わりにある。いわき商工会議所などが参加するアカデミア推進協議会は、企業に呼び掛け、会社見学ガイドブックを作る。商工会議所青年部は、商品販売から決算までを学ぶ小学生対象の講習を続ける。いわきバッテリーバレー推進機構は、高校で電気自動車の仕組みを教える。高校生が小中学生の講師となり、学びの連鎖も生まれている。
 地域を挙げたキャリア教育が進む一方で、若者の地元定着度は低い。二〇一八年の住民基本台帳人口移動報告によると、いわき市の十五歳から二十四歳までの人口移動は、転出が転入を八百七十九人上回る。県内の同規模市は、いずれも転出超過ながら、福島市は四百九十九人、郡山市は四百六十五人だ。
 過去五年の累計でも、福島市の千九百二十三人減、郡山市の千四百十人減に対し、いわき市は二倍以上の三千九百四十二人が減っている。市は、就職を機に生活の拠点を変えた若者が多いとみている。いわきの魅力を伝え、「選ばれるまち」づくりを目指す。
 二月のいわき志塾の講師は地元企業の経営者や社員が務める。自分たちが働く会社の良さ、地域の素晴らしさを、しっかりと伝えよう。子どもたちが将来、いわきに残っても、離れても、ふるさとを愛する心を持ち続けてくれることを願う。(鈴木俊哉)

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