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今後の動きに警戒を(2月10日)

 今の世の中、日本も世界もみんながイライラしている。戦争へと進んでいるようで私は心配しているが、それどころか人類破滅に向かっていると真剣に心配している科学者もいる。
 今回気になることが多いので、大風呂敷から始めたい。
 トランプ米大統領と金正恩[キムジョンウン]朝鮮労働党委員長の二回目の会談が近く行われる。今度こそ具体的に北朝鮮側がどういう核機能を止めれば、アメリカ側はどういう経済援助をするのかと細部まで決めてほしいと思う。金委員長は第一回会談の時から「段階的に」と述べていたのにアメリカ側は無視した。核を全廃するまでは一切経済援助はしないと非現実的な硬直した姿勢であった。それに日本も何の検討もせず、そのまま乗っていたが、これでは何の進捗[しんちょく]も期待できない。
 こうして米朝会談が進めば、韓国と日本は蚊帳の外である。元はといえば、韓国の文在寅[ムンジェイン]大統領が口火を切った朝鮮半島の非核化問題だ。日韓が争っている場合ではない。この問題の最大の障害は日本政府が韓国に対して積年の差別感情を十分反省していないということである。北朝鮮に対しても同じで、その反省の上に信頼できる関係をつくらなければ、拉致問題も解決できないのではないだろうか。
 もう一つ外交問題で気になるのは、北方領土と平和条約についての日ロ交渉である。ロシア側では政府高官の発言でも、島民はもちろん一般国民の動向でも、北方四島は絶対に日本に渡さないという空気である。安倍晋三首相は「北方領土である」と繰り返すが、プーチン大統領との二人だけの話でどんな約束をしているのか、多くの日本国民が心配しているのではないだろうか。
 昨年の夏頃[ごろ]、厚生労働省のある高官の方と偶然会う機会があった。私は厚労省はいろいろな問題をはっきり解明しないままごまかしてきたのではないかとズケズケとお話した。あとで初対面なのにずいぶん失礼なことをしてしまったと反省したのだが、今度の一連の不正問題が発覚して、やっぱり!!とニュースを見る度に口に出していた。不正を隠すために、この期に及んでも、事実や原因もわからぬうちに関係したかと思われる人々を罰したり、人事異動させたりしている。これらの動きから厚労省は大本まで腐っているように見える。政府は検証や再建を検討するために総務省に新しい組織を作ることにしたというが、今度こそお手盛りではないものにしてほしい。
 この時期に首相官邸は記者クラブの内閣記者会に対し、記者の質問を制限するともとれるような文書を出した。これは報道の自由に対する制限で、日本の政治にとって決して小さい問題ではない。こういう問題を簡単にやり過ごすと、戦前のような報道の制限に発展する恐れがある。
 今の世の中、眼[め]も耳も全開してこれから先を見通してゆかねばと思う。(小島美子 国立歴史民俗博物館名誉教授、福島市出身)

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