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「信頼は失われた。回復は難しい」。三十一日午後、県庁近くの自民党県連会館。改ざん問題の説明に訪れた東電幹部に加藤貞夫県連幹事長ら役員は容赦なく厳しい言葉を浴びせた。「安全を最優先に信頼回復に全力を尽くす」。本店から出向いた服部拓也取締役原子力副本部長はそう繰り返すだけ。二年間、何をやっていたのか。なぜ、改ざんが行われたのか。東電幹部の言葉に答えはなかった。
改ざん問題の発覚のきっかけは約二年前の平成十二年七月、旧通産省に寄せられた内部告発の手紙だった。手紙には二件の改ざんの実例が記載されており、調査で疑いは二十九件にまで増えた。しかし、この間の詳しい経緯について国と東電は「調査中」を理由に明らかにしていない。
東電の自主検査を請け負っているゼネラル・エレクトリック・インターナショナル社日本支社によると、同社は昨年十一月に国から福島第一原発の記録照合の要請を受けた。照合の結果、今年三月には国に提出した報告書と社内に残っていた検査データに違いがあることが判明した。
東電が今年五月に社内調査委員会を設置したことと重ね合わせると遅くとも今春には検査記録の改ざんの疑いは濃厚となっていたとみられ、県や県議会の関係者は「公表するタイミングはいくらでもあったはずだ」と指摘する。
公表が八月末になったことについて経済産業省原子力安全・保安院は「事実関係の調査や照会を続けていたが、確証が得られなかったため」(片山正一郎審議官)と説明。東電は「住民に不安を与えないために安全性を確認してから公表すべきと考えた」(栗田隆史本店広報部報道グループ副長)としている。
検査記録の改ざんは一九八〇年代後半から九〇年代まで十年以上の長期間にわたっている。この間、八九年一月に福島第二原発3号機で再循環ポンプが破損する事故が発生、九九年九月には茨城県東海村のJCOで国内初の臨界事故が起き、大きな問題となった。
東電は再循環ポンプの破損事故を教訓に運転管理や品質管理の総点検に乗り出し、国はJCOの会社ぐるみの事故隠しや違法操業を見逃したことで批判を受け、再発防止に万全を期したはずだった。
ここ一年間に実施した県内の原発の定期検査では、ひび割れがあったとされる二基の炉心隔壁(シュラウド)について「異常はない」と保安院に報告している。東電は「国に報告義務のあるひび割れなのかどうか、分からない」としているが、過去の改ざんを隠すためにうそを重ねていた可能性も出てきている。
県幹部は「体質は変わっていなかった」と憤りを隠さず、庁内には「検査記録を改ざんして原子力政策への批判の高まりを抑えようとしたのでは」との見方も出ている。
福島第一、第二両原発の五つのプラントでは今もひび割れなどの実態が分からないまま100%の出力で運転が続けられている。安全評価のよりどころとなる東電のデータに疑いがある中、保安院は「最悪の状況を想定しても安全上、問題はない」とし、現段階での運転中止の可能性を否定している。
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