二十一世紀に入り、電力を取り巻く環境が大きく変化しようとしている。原子力発電では、プルサーマル計画という核燃料の再利用システムが当初目標より大幅にずれ込み、スタートのめどすら立っていない。国策とされる再利用システムが立ち往生している背景には、現在の態勢に対する不信感とともにエネルギー政策に、より積極的にかかわろうとする立地県の意識の高まりがある。国民生活の基盤となるエネルギー政策の揺れを立地県から問い直す。

 

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東電、検討会での説明切望

ジレンマの中、論議を注視

(1月5日(土)掲載)

 県のエネルギー政策検討会はこれまで、すべて公開されてきた。東京電力は毎回、五、六人のスタッフを送り込んでいる。傍聴席の一角に陣取り、論議の内容はもちろん、発言者の表情や声のトーンまで克明にメモを取る。
 メモはその日のうちに東京の本店に電子メールで送られる。検討会の場は東電にとって、佐藤知事や県幹部の考え方を知ることができる「窓」となっている。
      
 検討会で取り上げられている電力の自由化と原子力発電。とりわけウラン燃料をリサイクルするプルサーマルの発電コスト問題は、東電の経営にも大きくかかわる。検討会を傍聴する東電担当者のメモが微細にわたるのはそのためだ。
 昨年十月二十二日の検討会は、核燃料サイクルから国は撤退すべきと主張している九州大大学院の吉岡斉教授が講師だった。国が一キロワットアワー当たり〇・六三円としている核燃料の再処理コストについて「資源エネルギー庁の試算にはトリックがあり、実際は一円以上になる」と指摘した。
 コスト高になることは核燃料サイクルを支持する講師陣もこれまでの検討会で一様に認めている。東電の榎本聡明常務原子力本部長は「会社としてもウランより高いという認識はしているが、会社の経営努力によって電気料金が上がるようなことはない」と断言する。
 さらに榎本常務は資源の乏しい国内の事情を考えた場合、エネルギーの安定供給にはコスト高でも貴重な資源を再利用できるプルサーマルは不可欠と強調する。民間企業なら避けて通りそうな“高上がり”の事業にも、国策の担い手として積極的に取り組む姿勢がうかがえる。
 「専門家の意見と、実際の当事者である東京電力の立場はおのずからちがう。当事者の声もぜひ聞いていただきたい」。東電幹部の一人はそう語り、検討会で説明する機会を切望する。
      
 「窓」は開いているが、そこから県や知事の懐(ふろころ)には入り込めない。東電はそんなジレンマの中で、検討会の行方を注視している。県が検討会を設置するまでの過程に、プルサーマル計画の実施を目指す東電には、いくつかの“読み違え”があった。

©福島民報社2002


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