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楢葉町と富岡町にまたがる福島第二原子力発電所。合わせて四百四十万キロワットの電気を起こす四つのプラントすべてが停止してから二カ月近くが経過する。「発電所内の電力すら福島第一原発などからもらっている。発電所としての機能が発揮できないのは残念で仕方がない」。半田光一所長はもどかしさをにじませる。
トラブル隠しの発覚後、福島第一原発1号機の気密性データ検査のごまかしや重要な配管に多数のひび割れが明らかになった。現在、福島第一、福島第二の十基のうち八基が停止している。三月末と四月中旬に残る二基が止まれば、昭和四十六年から三十年以上もともり続けてきた県内の「原子力の火」が一時的に消える。
ほとんどの原発の停止によって三月は消費電力の最大予想値に対する供給力を示す予備率は「ゼロ」となる。気温が一度下がると暖房施設の利用増などで約六十万キロワットの需要増が見込まれ、綱渡りの供給体制が続く。東電幹部は「会社始まって以来の異常事態だが、運転再開を声高に叫ぶことはできない」と焦燥感を募らせる。
東電は昨年末から供給力不足を消費量の抑制で補う「節電キャンペーン」を始めた。社員を総動員して大口の契約者一万カ所を訪問し、協力を求めている。家庭にもエアコンの温度設定やテレビの主電源のオフなどのこまめな節電を呼び掛けている。
一般的な家庭の約一万五千世帯分の電力を消費する東京都庁本庁舎は東電の要請を受ける形で省エネルギー運動を展開している。本庁舎のエスカレーターの一部停止や照明の消灯、約二万台あるパソコンの一日二時間停止などで年間約六十四万キロワット時を節電しているが、効果は約百八十世帯分にすぎない。
生産ラインを調整できる工場などと違い、需要のピークとなる午後の時間帯に電力をカットするのは困難だ。都環境局総務企画課は「“緊急時に電力消費を一割カットして”と依頼されても、オフィスビルには限界がある」と話す。
キャンペーン開始から三カ月。前年は暖冬だったという要因はあるが、東電エリアの電力消費量は前年に比べ十二月は4・2%、一月は5・9%増えている。東電社員が「節電をお願いして回っているが、九割は理解してもらっているという感触がある。ただ、効果が出ているかと聞かれれば分からない」と話すように、手探りが続く。
東電の嘱託として働いたこともあるという都内の消費生活アドバイザーの碧海酉癸さんは戦中・戦後の電力不足を経験している。「ほかの電力会社から融通してもらえる電力は百五十万キロワットしかないことを知っている東京の消費者はほとんどいない。電気はいくらでもあるものではないのに…」と都民の危機感の希薄さを指摘する。
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