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神奈川県横須賀市の東京電力横須賀火力発電所。昭和三十五年から順次、運転が開始された八基のプラントは高度成長期の首都圏を電力供給の面から支えた。
昨年春には、その役目をほぼ終え、六基までが長期停止に入っていたが、原発トラブル隠しの発覚で「退役」した火発にお呼びが掛かった。昨年末までに出力三十五万キロワットの7、8号機が運転を再開した。二月二十一日には三年間休んでいた6号機に火がともり、夏までには1号機を除く七基が動く。
正月休み以外は土日なしで作業の陣頭指揮に立ってきた会津若松市出身の小山田仁己所長は「これだけ急ピッチの立ち上げは初めて。ただ、ここはフル運転しても原発二基分の働きしかできない」と限界を語る。
原発を除く東電の水力、火力の供給力は最大で約四千三百万キロワット。過去最大電力は一昨年七月の六千四百三十万キロワットに達する。東電は共同火力などからの受電を含めても、電力需要のピークには数百万キロワットから一千万キロワットの供給力不足になると試算する。
一つの電力会社が供給力不足になった場合に備え、電力各社は必要な電力を融通し合うシステムを持っている。電力の「危機管理」システムとも言えるが、東日本と西日本では周波数変換が必要となる。変換所は現在、静岡県佐久間と長野県新信濃の二カ所にあるだけで、行き来できるのは九十万キロワットのみだ。
電力関係者は「もともと電力会社間の融通は経済性と効率性に主眼が置かれており、原発が全基停止するような危機的な電力不足を想定していない」と説明する。
中部電力は新たな変換所を静岡県東清水に建設しているが、完成時期は未定。東京電力も変換所の新設について「送電線の設置にばく大な経費がかかる」と否定的だ。
東電と同じ周波数圏にあるのは東北電力と北海道電力の二社。北海道電力と東電は海で隔てられているため、東北電力を経由して送電可能なのは六十万キロワットに限定されている。一方で、東電と東北電力とは安い原価で発電した電気をやりとりする「経済融通」を頻繁に行っている。
ところが、東北電力も女川原発1号機は再循環系配管のひび割れで、傷の深さを追加調査するため運転再開は不透明。さらに、東電の福島第二と柏崎刈羽から受電している百十万キロワットが見込めない状況が続いている。
適正が8〜10%とされる電力予備率も三月は6%と厳しさは東電と変わりない。昨年十二月から長期停止に入るはずだった仙台火力の十七万五千キロワットの発電所も停止時期を延期して、自社の電力確保に努めている。長谷川登広報課長は「供給する電力量は東電と違うし、予備率からみても提供できる電力はないのではないか」と見通しを示している。
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